旅館が安売りに走るワケ。だって、競争に巻きこまれたい!

この記事は9分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^

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業界の構造をチラッと…

まぁ、巻き込まれたいわけじゃないんでしょうが、結果ね…。^^;

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

ゴールデンウィークにお泊りいただいた師匠・藤村正宏先生。
館内に師匠がいらっしゃって、ふとしたタイミングで雑談ができるのは、なんとも不思議な感じもあり、至上の喜びでもあります。
藤村先生、ありがとうございました。

なにげない師匠との会話からは様々な気づきがあるわけです。

今回は、宿の都合により、どうしても一番渋滞するであろう3日からしかお泊りいただけませんでした。
その3日に東京から山形に向かっていたところ、高速道路に乗って次のICで降りるようナビが指示したそうです。

その区間が渋滞していたから。

今のナビは、高性能なので渋滞を考慮してルートを教えてくれます。
ナビの案内通りにいったん一般道に降りたら、やはり早かったそうです。

そう、高速道路が必ずしも早いとは限らない。
渋滞するなら、一歩手前で降りる手もある。

運転ならそれができるのに、経営だと高速に乗り続けてしまうことがあります。

本日の藤村先生のブログのお話。
「安いのを望んでいるお客も悪い」|こういう思考にならないこと

実は先日、宿でもお聞きしました。
そう考えてしまう旅館関係者の気持ちもわかります。

でも、そうなっちゃいけない。

談志師匠

「赤めだか」にも出た有名なお言葉

立川談志師匠のお言葉で、こんなのがあります。

よく覚えとけ。
現実は正解なんだ。

時代が悪いの、世の中がおかしいといったところで仕方ない。

現実は事実だ。

現状を理解、分析してみろ。

分析したら、それを処理すればいい。
と続きます。

ですから、旅館業界の現状を私なりに分析してみます。

「なぜ藤村先生の本を読んだ女将さんは安売りしないといけないと思ったのか?」

旅館が安売りに陥る三大しくじり思考

業界の常識は世間の非常識。
その業界特有の思考ってありますよね。

しくじり思考① 「旅館はパイの奪い合い!」

温泉街に宿が10軒あったとして、宿泊目的で温泉街に来るお客さまが、1日に
500人いるといます。その日は、その500人の奪い合い。

宿泊目的で最寄り駅で降りるお客さまが1,000人いるとします。
別の温泉地やビジネスホテルと、その1,000人の奪い合い。

旅館は1日に1つの宿しか利用できません。
買い物のように、うちで買って、隣でも買うといった1日での複数利用はできません。

よって、パイは限られていると考えてしまいがち。
その根底には、「宿泊客=新規客」という発想があります。

限られた新規客をいかに奪い合うか?
しくじりの第1段階です。

しくじり思考② 「長いものに巻かれてでも集客したい!」

一昔前なら、温泉街にやってくる遠方の人といえば、旅行会社経由でした。
インターネットがない時代は、旅行会社のパンフレットにしか遠方の情報はありませんでしたから。

すると、「旅行会社と組めれば、売上が上がる」と考えてしまいがち。

たしかにそうなんです。
旅行会社は、販売のプロ中のプロ。
遠方に販売の窓口を持てて、自動的にお客さまを紹介して、売上をあげてくれます。

多少の手数料には目をつぶって、紹介してもらえれば御の字。

しかし、ここに「競争」という落とし穴があります。

ひとつは、旅行会社同士の競争。
リアル系A社とリアル系B社、ネット系C社とネット系D社、外資系E社。
ガチで戦ってます。

旅行会社と組むのは、一蓮托生。
組んだ相手が負ければ、その影響を受けます。

提携しただけでもすでに競争のなかにいるのです。

そして、もうひとつは、旅行会社内での競争。
1つの旅行会社は、たくさんの旅館と提携しています。

例えば、山形県内100軒の宿と提携している旅行会社と組んだなら、その100軒でのポジション争いがはじまります。

ひとことで「旅館」といっても、収容規模1000人の宿もあれば、うちのような100名弱の宿まで様々。
そこにはフェリーとモーターボートくらいの歴然とした差があります。

正直言って、大旅館と争って優位なポジションを得るのはかなり難しいです。
旅行会社内のポジション争いは、規模に比例しますので。

すると、組めば勝てるという安直な発想は甘かったことに気づき、自ら競争に身を投じる羽目になります。

しくじり思考③ 「みんな同じで誰かがいい!」

「みんな違ってみんないい」の対極にある発想ですが、自然とそうなってしまいがち。

旅行会社内での競争は、その旅行会社が決める指標で優劣がつけられます。

重要な機能は「ウォシュレット」「露天風呂」などアイコン化されます。
「料理」「風呂」「施設」など、点数化されます。

結果、同一の基準で序列化が進みます。
同一基準と序列化をわかりやすく言うと、「みんな同じで誰かがいい!」

というわけで序列が低くても対抗するには、安売りせざるを得ないという…。
選ばれにくいから、安売りという悲しい性(さが)。

残念ですが、構造的なものなので自社のがんばりでどうなるものでもありません。
結果、安売りは仕方がない。

安くすれば選ばれる。
安くないと選ばれない。

「安売りを選んでいるのは、お客さまなんだ…」と思いたいんですよね。

ちなみに、旅行会社が悪いわけではなく、手法がそうなっているだけ。
手法さえ変えれば、ガラッと変えられますが、今のところどこも同じような手法です。

リアル系A社とリアル系B社、ネット系C社とネット系D社、外資系E社のなかでも「みんな同じで誰かがいい!」になっています。

では、どうするか?

渋滞覚悟で高速道路に乗り続けるのか?
いったん考えて、一般道で行くか?

長くなりすぎたので、対策編は、また後日。^^

 

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