志らく師匠が課題にした浪曲歌謡「俵星玄蕃」のスゴさ
この記事は9分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^
まるでミュージカル「浪曲歌謡」というジャンル
私にとっては、新ジャンルでした。
3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。
先日の立川かしめさんの「二ツ目イクアリテ」のレポート第2弾。
前座、二ツ目、真打と昇進していく関東の落語の世界。
関西では、このランクはないそうです。
そんな落語家の人生がかかる昇進。
以前は、明確な基準がなく、協会の先輩師匠陣が決めてきたそうです。
そんな仕組みに一石を投じたのが立川談志師匠です。
弟子の昇進問題がきっかけで協会を飛び出し、落語立川流を設立。
自ら家元として、弟子を引き連れ、別団体を作りました。
このあと、談志師匠が作った昇進基準が、わかりやすい。
前座から二ツ目に上がる際には、「落語50席+歌舞音曲」。
真打に上がる際には、「落語100席+歌舞音曲」。
わかりやすい!と思っていました。
が、今ひとつピンときていなかったのが、「歌舞音曲」。
どんなものなんだろう?
都々逸なのか?
長唄なのか?
三味線が弾けるといいのか?
太鼓は決まった曲があるのか?
よくわからなかったのですが、ここに一つの基準をくださったのが、志らく師匠です。
志らく師匠が、かしめさんに課したのが「俵星玄蕃」。
これをマスターしたらいいよというわけです。
「歌舞音曲」と言われるより、明確です。
当日まで、全く知らなかった「俵星玄蕃」。
あとで調べたら、浪曲歌謡というジャンルで三波春夫先生の歌でした。
浪曲歌謡は、他にもいろいろございます。
「元禄名槍譜 俵星玄蕃」 – 三波春夫
「王将」 – 村田英雄
「岸壁の母」 – 二葉百合子
「刃傷松の廊下」 – 真山一郎
「河内十人斬り」 – 初代京山幸枝若
「原爆の母」 – 天津羽衣
「梅川忠兵衛」 – 二代目春野百合子
「ろうきょく炭坑節」 – 芙蓉軒麗花
私も子どもの頃にきっと見ていたのでしょうが、演歌との違いがわからず、そもそも関心もなくノーマークなジャンルでした。
それが歳をとったからもあるのか、この動画を何度も見てしまいます。
三波春夫先生といえば、「世界の国からこんにちは」を歌っていて、「お客様は神様です」と言ったおじさん(失礼!)というイメージしかありませんでした。
でも、この動画を見て、ガラッと印象が変わりました。
めっちゃ、かっこいい!
「蕎麦屋かぁあああ!」のあたりとか、しびれます。
映画を観た後のようなストーリー性。
スゴすぎます。
懐かしむ映像では、「世界の国からこんにちは」より、ぜひこちらを流してほしいくらい。
志らく師匠の意図を忖度してみる
「前座は、この曲を覚えなさい」と志らく師匠が課題に出した「俵星玄蕃」。
見るのとやるのは、大違い。
とても難しいと思います。
そして、一曲の中に歌だけでなく、講談のようなシーンもあれば、感情を大きく表現するシーンもある。
高度なテクニックがコンパクトにまとまり、9分。
うまいからこそ、お客を引きつけ、9分も持たせられる難解な曲。
志らく師匠も、「できるわけはないと思うが、」と思ってらっしゃるはず。
でも、そこにまた、師匠の意図を感じます。
芸の高みを知ること
「浪曲、よくわかんない。」
「歌なんて、誰でも歌えるっしょ。」
自分のよく知らない芸には、その程度の捉え方になってしまいがち。
でも、落語家として、芸に身を投じるならば、他の山の高さもよく知りなさい、というメッセージに取れます。
もちろん、落語という芸の高みを知るのは、当然。
それ以上に、他の芸を見る目をしっかり養いなさいという意味かと。
芸を好きになること
落語という芸に取り組むからには、他の伝統芸能も好きになりなさい。
落語の中には、歌舞伎や相撲、都々逸、俳句、茶道、三味線など、様々な伝統芸能が登場します。
いわば、その芸能のパロディを落語で表現しています。
パロディをするには、本家をよく知ること。
本家をよく知るには、好きになって、好きな人の目線でその芸能を見ること。
そんな視野の広さも言っている気がします。
芸を広めること
まったく興味がなかった「俵星玄蕃」。
会が終わってから、ユーチューブを何度も見ています。
興味関心ゼロ。
三波春夫先生についても、知っているけど、真髄に触れていない。
そんな私を「これ、すごいね。誰かに見せて、ちょっと語りたい」と思わせるほどにさせていただきました。
ここにもまた、志らく師匠の意図を感じます。
たとえ、当日の芸が下手でもそれをきっかけに本家を知る人も出てくる。
それが、本家の芸への恩返しにもなる。
実際、当日のかしめさんの歌は、一生懸命でしたが…。
歌が難しすぎるのと、三波春夫先生がうますぎるので仕方ないくらい。
でも、踊りも入れて、お客さんに喜んでもらおうという心意気はひしひしと伝わってきました。
サプライズで、曲の最後には、歌を教わりにいった大塚文彦先生も登場。
「あ、やっぱ、うまいわ!」と一同再認識しちゃいました。
この本人ができなくて先生が出てきちゃうあたりも、談志師匠と圓生師匠の「包丁」を彷彿とさせます。
いろんな意味で、今回の二ツ目昇進トライアルは、大変面白かったです。
かしめさんの企画力とか構成力が光って、観客はハラハラしたり、安心したり、ホロリときたり。
こしら師匠の司会のようなカラミも絶妙でした。
立川こしら 落語会 11月16日
そんなこしら 師匠の落語会、次回は、11月16日です。
会場は、スタジオ八百萬さんになります。
詳しくはこちらの落語会ページからどうぞ。
お待ちしております。^^
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