行政と流れを変えろ!米沢市民限定プランの裏側

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オープンすれば予約が入るとは限らない

ようやくここまで来れました。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

旅館をながらくやってきて、100年に1度のピンチが、今回の新型コロナウィルスでした。
東日本大震災も大変でしたが、今回の方が大変です。

震災では、最初にどん底が来て、その後、時間の経過とともによくなっていく見通しがありました。
地域も東日本が中心でした。
今回は、いつが底なのか全く見えません。
また、被害も日本中どころか、全世界。
様々な負の連鎖が起こり、予約が入る見通しは全くありません。

登府屋旅館では、実質4月14日から5月10日まで休業しました。
県からの要請を受けたのは、4月25日から5月10日でしたが、それ以前からほとんど予約はありませんでした。

耐えに耐えたゴールデンウィークを乗り越え、5月11日に再オープンしました。
しかし、オープンしたらお客様がいらっしゃるとは限りません。
その後も、予約ゼロが続きました。

コロナウィルスへの恐れもありますが、「果たして行ってもいいのか?」「変な目で見られるのでは?」という不安もあり、様子見の空気がありました。

旅館業界でも、大手は6月末まで休業を決めるなど、「休むのが得策」という流れがありました。

この流れを大きく変えたのが米沢市の市民限定「宿で癒されてキャンペーン」です。

これはチラシの表面ですが、裏側をご説明します

詳しくはこちら。
米沢市民限定!宿で癒されてキャンペーン

自動思考を打破した米沢市の先見性

コロナウィルスの影響が出始めてから、小野川温泉として、温泉米沢八湯会として、様々な場で市役所の方とお話を重ねました。

今回、苦労したのは、早すぎる状況の変化でした。
当初「リピーターをメインにお客様にお手紙を出したいので補助してほしい」という案がありました。
しかし、しばらくすると緊急事態宣言が発令され、移動そのものができなくなりました。

何か手を打とうと考えて実行すると、その途中で状況が変化し、ついていけない。
アベノマスクが最たるものですが、決定したときは、マスクは足りなかったのです。

状況の変化についていくよりも、旅館を休んでコロナを静観した方がいいという考えが主流でした。

それに対して行政ができるのは、休業中の資金繰りとするべく入湯税を財源とした資金の補助でした。
山形県内でも他の市町村では、休んでいる旅館を救うべく、温泉旅館への資金注入が行われました。

一方、米沢では…。

旅館側には「休んだ方が無難、無理して営業しても…。」という空気がありました。
米沢市に対して「なんとか救済を」とお願いしようとしました。

そのとき、観光課からの一言に衝撃を受けました。

「5月にお客様を動かせませんか?」

本音では「まだ早いでしょう?無理でしょう?」とビビりました。
しかし、民間企業である我々が及び腰の中、行政マンの先見性に驚きました。

「6月からはのキャンペーンが始まります。
その後、のキャンペーンが始まります。
時間とともに状況はよくなるはずです。

空白期間である5月中にお客様に来てもらえないでしょうか?
衛生対策をしっかりしたうえで。市民限定で。」

「休んだ方がいい」と思考停止した我々旅館への叱咤激励のような提案でした。
正直、目が覚める思いでした。

まさしく「挑戦と創造」。

この頃、米沢はもちろん山形県全体でも感染者ゼロが続いていました。
米沢市民限定なら、車での移動がメインですし、感染拡大リスクはとても低い。

同じ予算なら旅館に現金を注入するよりも、お客様半額キャンペーンにすれば倍の金額が旅館の売上になります。
しかも、市民限定でステイホームを頑張った市民に還元されます。
なにより営業すれば、食材やスタッフなど、様々な分野に経済効果が波及します。

さらに、金・土は最大5千円、平日は最大7,000円として、平日をお得にしました。
三密を避ける意味でもなるべく予約を分散したかったためです。
満室や最大人数を競うのではなく、新たな営業スタイルを目指しました。

資金繰り対策も折り込みました。
通常は、宿泊しないと売上が発生せず、お金も動きません。
しかし、今回は、予約をベースに補助の見込み額を事前に旅館に注入できるようになりました。
宿にとっては、大変ありがたい前受金です。

とはいえ、懸念もありました。

宿泊業界向けの衛生ガイドラインが出ていたものの、肝心のアルコールがありませんでした。
マスクが出回った後も、市場からはアルコールなどの消毒用品はまだ流通していませんでした。
売っていても、お1人様1本など、営業に使うには難しい状況でした。

宿泊施設における衛生ガイドライン(第一版)

そこで、衛生資材米沢市のアドバイスのもと、米沢観光コンベンション協会が手配し、各施設に配布することに。安心して営業できるようになりました。

除菌用アルコールも市が手配

行政とともに流れを変えよう

米沢市では急ピッチに議会対応と予算措置をしていただき、打合せの翌週には実施可能になりました。
さらに、参画施設の募集や説明会など、最短スケジュールで行い、5月21日に開始となりました。
ちなみに、参画条件は、衛生ガイドラインの順守です。

市内の多くの宿が参画

告知は、折り込みチラシ。
初日にすべての新聞に織り込みました。

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お申し込みは、お電話のみ。
「今どき?」と思いますが、スピード重視の「折込チラシ+電話」

もちろん、ツイッターやフェイスブックなどでもお伝えはしました。

そして、運命の5月21日。
朝から電話が鳴りやみませんでした。
重なっててんてこまいになるほどでした。

真っ白だった予約帳。
開店休業だったはずが、どんどん営業日になっていきます。
週末よりも、平日が埋まっていきます。

ステイホームで我慢していたお客様が、一気に動き出しました。
ありがたいことにお客様も協力的で最大枠である1万4千円のプランをお選びくださいます。
平日の客単価アップにもなりました。

宿泊だけでなく、日帰りでの利用、飲料などの館内利用も補助対象になるため、お客様にとっては自由度の高いありがたい補助となりました。
平日のお昼を楽しむ奥様方のご予約もいつになく増えました。

25日時点で、50組、160名様を超えました。

ゴールデンウィーク休業で売上ゼロを覚悟していた5月にお客様が戻ってきました。

もちろん、このプランがすべての旅館に当てはまるわけではありません。
大型旅館の場合、もっと多くのお客様でないと休んだ方がいい場合があります。

今回、コロナウィルスで消費が冷え込むなか、ただ待っていても開店休業が続きます。
いかにして、流れを変えるか?

「久しぶりに温泉にでも行ってみようか?」
という空気づくりは、民間と行政が知恵を絞って行わないと難しいです。

今回、米沢市とともに行った
・まず地元
・空白期間をなくす
・半額補助
・平日重視
・昼食や飲料も対象

・前受金
・衛生レベルを上げる

・衛生資材を配給
といった視点は、他の温泉地や自治体でもぜひマネしていただければと存じます。

様式など、より詳しくはこちら。
米沢市民限定!宿で癒されてキャンペーン

また、山形県民限定でもキャンペーンがございます。

12月まで使える5,000円クーポン。
お申し込みは、今月中です。

山形県民限定!泊まって応援キャンペーン

今まで、インバウンド一辺倒で海外重視だった観光行政ですが、しばらくは地元重視がメインになると思います。
規模としては、日本人による国内旅行の方が圧倒的に多いですし。

コロナを機に本当に重視すべきお客様と今後の方向性は考えていくことになるでしょう。

これから続々オープンする温泉旅館の皆様、ともに生き残り、日本の文化を引き継いでいきましょう。

 

登府屋旅館は【 バリアフリーの温泉旅館 】
(下のバナーから紹介ページを開けます)

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