本当は恐ろしい「バリアフリー」。「バリアフィット」で呪縛から抜け出せ
この記事は7分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^
本当は恐ろしい「バリアフリー」
バリアフリーは、怖いっす。
3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。
「ドツボにハマる」という言葉あります。
「バリアフリー」という言葉は、向き合い方を間違えるとドツボにハマります。
どういうことかと言いますと…。
バリアフリーについてずっと考えると、あきらめに似た結論に達することがあります。
どれだけ考えても、まだまだ様々な障がいがあり、その数だけ受け入れ方もある。
障がいが変われば、受け入れも変わるのは当たり前。
バリアフリーというのは、「段差がゼロ」になればいいのではなく、ちゃんと受け入れできること。
できることなら全ての方を受け入れしたい。
ここまでは、理念です。
その理念は大事です。
でも、現実に落とし込もうとすると呪縛にハマります。
まず、障がいによっては、矛盾が起きます。
点字ブロックは、視覚障がい者にはいいですが、普通に考えれば歩きにくく、転びやすい。
手すりも、その手すりが必要ない人にはいいですが、それ以外の人には必要ない。
そんな具合に、全ての障がいに対応して1つの施設で全てを解決するなんて不可能。
にも関わらず、「バリアフリー」の一言でそれを目指してしまいがち。
目指した人は、まだいいです。
途中で気づきますから。
「あ、全員に完璧なのは不可能だな。」と。
問題は、目指す前にあきらめた人。
「バリアフリーなんて、うちには、絶対に無理。いってくれるな。無理、無理、無理。」
「『バリアフリーは無理』なんていうと、優しくない人みたいだから、そもそも言ってくれるな。」
この壁が一番高いんです。
ですから、まず「全員を受け入れられる100%のバリアフリーなんてありえない」からのスタートです。
その上で…。
バリアフリーではなく、バリアフィット!
フリーが言葉として強すぎるんです。
マイナスからゼロ、またはプラスにしていく感じが強い。
ゼロからプラスぐらいが丁度いい。
「おたくの施設は、マイナスが多い。これをゼロにしよう。」
ではなく、
「おたくの施設でプラスにできる人を探そう。」
これがいい。
例えば、段差がたくさんある日本旅館。
日本建築では、段差にも意味があるのであって当たり前です。
「うちは、段差だらけだから無理。」
とあきらめるのではなく
「うちは、段差はあるけど、聴覚障がいの方を受け入れるならできます。」
で、いいんです。
これが、バリアフィット。
「障がい者」と大きくとらえずに、ケース別、障がい別にとらえて、自分の施設にフィットする方を探す。
そのほうが、積み上げになるので、楽しく取り組めます。
「次は、こうすれば、こんなタイプの方も受け入れできるな。」
と発想も広がります。
仮に、AからFまでの受け入れパターンがあったとして
旅館① ABCパターンに対応
旅館② Dパターンに対応
旅館③ EFパターンに対応
施設ごと得意を生かして、みんなで全体を受け入れできるようになります。
実際、先日見つけた山崎まゆみさん監修の旅行パンフレットは、そんな視点で作られています。
バリアフリーの呪縛にかかると「旅館①でABCDEFパターンをすべて対応」となり、なかなか実現困難な道になります。
まずは、一人を受け入れてみる
「究極の貸切風呂づくり」と銘打ってはじめた当館の貸切風呂。
途中で、「究極とは1人のためにリフォームする家庭の風呂ではないか」という結論に達しました。
不特定多数の人が入る旅館の貸切風呂の場合も、究極は全員に対応することではない。
というか、できない。
なので、うちは、加藤健一さんをモデルにしました。
空飛ぶ車椅子社長 けんぼー 加藤健一 (@kenbo_yamagata)
けんぼーが入りやすい形を作る。
それをうちの受け入れの形とする。
そんな想いで今、設計を行っています。
おそらく世界初「滑り台つき」の貸切風呂。
バリアフリーの呪縛から離れ、バリアフィットで考えてみる。
自分の施設にフィットする方は、どんな方かを考え、つながってみる。
受け入れの第一歩は、そこからがいいと思います。^^
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