5温泉地を駆け抜けたご当地落語で生まれた24席!

この記事は21分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^

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5温泉地をめぐる新作落語創作発表会

地方発の落語が24席誕生。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

落語といえば、江戸か上方が舞台になりがち。
昔ながらの古典落語もいいのですが、もしかしたら今から作って、いずれは古典になるような落語を生み出したい!
もしかしたら、地方発のお噺が時代や地域を超えて伝わっていくかもしれない…そんな夢と希望のプロジェクト。

落語家さんが、4泊5日で滞在し、現地を見て、現地の人の話を聞いて、3日で落語をこしらえて、4日目には発表会。
前代未聞の企画が始まりました。

ご当地落語、最初の地は、小野川温泉でした。

ご当地落語 小野川温泉編

当館、鈴の宿 登府屋旅館での開催でした。


最初だったので、全てが手探りのなか、4席の落語が生まれました。
作は、全てナツノカモ先生。

インタビューやまち歩きだけでなく、創作の過程や食事の様子まで配信し、プロセスが全てわかるかつてないプロジェクトとなりました。

一席目 「小野川」

ご当地落語の最初らしく、温泉地の名を冠した新作落語。
全体のスタートが温泉名というナツノカモ先生の粋な計らいです。

御隠居さんとの根問スタイルという古典らしい流れの中、数日前に聞いたばかりの話がポンポン登場します。
小野川温泉の名刺がわりの噺を柳家緑助さんが演じてくださいました。

 

二席目 「鰯地蔵」

続いて、小野川温泉の「豆腐地蔵」にからヒントを得た「鰯地蔵」。

物語の構成といい、フレーズといい、昔から落語にあったのでは?と錯覚するような作品。
前日に渡された台本で、ここまで味付けできる立川寸志さんの技術。

宿主賞として、YouTubeで全編公開されました。
また、寸志さんは、ナツノカモ先生から作家賞もゲット。
ダブル受賞となりました。

 

三席目 「蛍のリレー」

古典風の二席のあとは、ガラッと変わって現代が舞台。

小野川温泉の蛍を題材にした人情噺。
終始はりつめた緊張の空間を立川志ら門さんが、コントロール。
泣けるお話でした。

 

四席目 「姫ちゃん」

小野川温泉の温泉むすめ・小野川小町を彷彿とさせるお噺。

これまで出てきた3つのストーリーを回収していく神ワザ。
立川こしら師匠の圧巻のトリとなりました。

この日の模様は、多くのマスコミにも取り上げていただきました。

 

配信の様子をご覧になりたい方は、こちら。
ご当地落語 小野川温泉編 の全映像は、ツイキャスプレミアにて

 

ご当地落語 土湯温泉編

2つ目の温泉地は、福島県の土湯温泉でした。

立川こしら師匠と柳家緑助さん以外は、メンバーも入れ替わり、温泉も山の中でまた違った雰囲気。
今回も作家は、ナツノカモ先生。

名物企画、「ふろトーク」は、土湯温泉から生まれました。

本番前にとてつもないトラブルに見舞われながら、誰にも気づかれず何事もないように会ははじまりました。

五席目 「憧れの女将さん」

上方落語の桂優々さんが、演じる関西弁でのご当地落語。


話の舞台は土湯温泉なのに関西弁で吉本新喜劇のようなドタバタコメディ。
ちなみに YouTubeではカットされているマクラは25分に及び、持ち時間の20分を枕で超える「優々現象」としてツアー中ずっと話題になりました。気になる方はツイキャスでどうぞ。

 

六席目 「ご当地ドラマ」

土湯温泉にやってきたドラマ脚本家のお噺。

柳亭信楽さんが、これでもか!と演じてくださいました。
会場は、ずっとクスクスとゲラゲラが続く不思議な空間に。

 

七席目 「こけしの気持ち」

土湯といえば、名物は「こけし」。

都市伝説のネガティブなイメージが、いかに間違っているかを伝えてくれる一席。
犬やら、おばあちゃんやら、やたらとかわいい柳家緑助さん。

落語ファンだけでなく、こけしファンが感涙するお噺でした。

 

八席目 「恋花」

会が始まるまでのツイッターが伏線になる珍しいお噺。

こしら師匠がツイッターで「カモ先生、本番まで○時間前です。台本まだですか?」というツイートを繰り返していたのを逆手に取るナツノカモ先生の会心の一撃。

配信の様子をご覧になりたい方は、こちら。
ご当地落語 土湯温泉編 の全映像は、ツイキャスプレミアにて

 

ご当地落語 赤倉温泉編

2つの温泉地でなんとか創りきったご当地落語。
今度は、インターバルなしで、赤倉→芦ノ牧→岳と3温泉地連続での強行軍。

赤倉温泉では、なんと6席の落語が生まれました。

九席目 「真っ赤倉」

なんと、開口一番で立川こしら師匠。
赤倉温泉の「赤」にこだわってできたお噺。

いきなりの真打登場に、今回もどんな展開になるのかワクワクが止まりません。

 

十席目 「蚤虱(のみしらみ)」

松尾芭蕉が、赤倉温泉周辺で詠んだ句「蚤虱 馬が尿する枕元」をヒントに桂竹千代さんが創作したお噺。

台本とは違った味付けで立川志ら門さんが演じてくださいました。
台本と見比べて楽しめるのもご当地落語ならでは。
台本はすべて「ご当地落語 公式サイト」にて公開されています。

 

十一席目「ガマ仙人」

馬頭観音さんで見つけたこの絵から生まれた一席。

右の「鉄拐仙人」は、古典落語「鉄拐」としてすでに噺になっています。


今回は、左の「ガマ仙人」を柳亭信楽さんが、落語に仕立ててくださいました。

 

十二席目「馬の文」

赤倉温泉周辺は名馬の産地。
馬の本場で「馬に似ている」とお墨付きをもらった柳家緑助さんが演じる馬のお噺。

作者は、立川こしら師匠。
赤倉温泉では、専門の作家はおらず、こしら師匠と竹千代さんが創りました。

 

十三席目「おさいど祭」

桂竹千代さんが、地元の祭りを支える人々の悩みから着想しできたお噺。

全国に同じ悩みを抱える祭りの主催者いるであろうテーマ。
全員が共感するお噺に仕上がりました。

 

十四席目「おーい山賊」

「山賊がいた」という赤倉温泉の言い伝えからヒントを得た作品。

「山賊」という一見怖そうな存在を憎めないキャラに仕立てるあたり、こしら師匠らしい一席でした。
言葉のイメージもストーリー次第で愛らしくできる落語の真骨頂を感じました。

配信の様子をご覧になりたい方は、こちら。
ご当地落語 赤倉温泉編 の全映像は、ツイキャスプレミアにて

ご当地落語 芦ノ牧温泉編

山形の北にある赤倉温泉から会津若松の芦ノ牧温泉へ。
このツアー最大の移動を経て、連続してご当地落語を作ります。

大川荘さんは、「鬼滅の刃」のあのシーンのモデルとも言われる宿。
写真家・武藤奈緒美さんがかっこいい写真にして盛り上げてくださいました。

今回は、作家として讃岐邦好先生を迎え、創作活動が続きます。

十五席目「どぶろく改め」

インタビューの中で実際に出てきた「どぶろく改め」という言葉が元に生まれた落語。
お酒を担いで山を駆け上がって…というシーンには、人間の知恵を感じます。

柳家緑助さんが演じ、見事、宿主賞を獲得しました。

 

十六席目「お撞き初め」

現地で鐘を撞いた際の様子が元となった落語。

 

立川こしら師匠が、現地の実在の人物とも組み合わせながらパチプロで猟師を演じました。

 

十七席目「贋金の村」

インタビューで聞き出した「当時は口が裂けても言えなかった話」をもとに生まれました。
政治とは、社会とは、と考えさせられるテーマでもあります。

ネガティブになりそうなネタですが、鈴々舎馬るこ師匠が、爆笑落語に仕立ててくださいました。

さらに、後日、ご当地落語が寄席の根多帳に!

 

十八席目「正太と正雄」

立川志ら門さんが、演じる友情物語。

会津名物の「身欠きニシン」をかじる様子が、コミカルでした。
子ども同士はすぐに仲良くなりますが、それぞれの育ちの違い、ギャップが生まれ、ご当地がありありと伝わってきました。

 

十九席目「バルブ職人」

すべての温泉関係者に捧げたい一席。
源泉掛け流しでお風呂を管理していたたら、共感しまくりです。

一度見たら忘れられない「鶴の型」からのバルブ調節の動きは、ぜひ動画でご覧ください。

雪をバックに武藤さんの撮影も冴えわたりました。

配信の様子をご覧になりたい方は、こちら。
ご当地落語 芦ノ牧温泉編 の全映像は、ツイキャスプレミアにて

ご当地落語 岳温泉編

ご当地落語の最後にして、最もキャラの濃い温泉が岳温泉でした。

かつて日本から独立していた…というマユツバな温泉地。
しかし、実際に見れば見るほど、本気の面白さがたくさんありました。

林の撮影が好きな武藤さん。

岳温泉では、「ネタだしブレスト」や「ネタ決めドラフト」など、新たなノウハウも登場。
すべてが生配信され、大変興味深い時間となりました。

二十席目「いーい湯加減」

ご当地落語初参加の立川志獅丸師匠。
まさかのトップバッターでの登場です。

岳温泉らしさがふんだんに入った一席。

二十一席目「緑の鏡の池の神」

岳温泉の「緑が池」と「鏡が池」からヒントを得た、こしら師匠らしい作品。
昔話にありそうなファンタジーと教訓が見え隠れ。

真打2人が最初から登場し、しっかり場を作って、若手にバトンを託します。

二十二席目「後継者」

「湯守」という言葉は全国にありますが、岳温泉の湯守はかなり厳しいお仕事です。
8km先の源泉から温泉を引いてこなければなりません。
そんな湯守にスポットを当てた作品。

三遊亭萬丸さん、初参加にして、宿主賞に輝き、YouTube公開です。

 

二十三席目「ニコニコ共和国」

岳温泉の最大の特徴が、「かつて日本から独立しニコニコ共和国だった」。
この大ネタを桂優々さんが、上方の味付けで料理してくださいました。

まちづくりのアイデアは、酒の席で生まれる…を地でいく作品。

二十四席目「おじいちゃんのプライド」

岳温泉のトリであり、ご当地落語のラストを飾るのは、柳家緑助さん。

岳温泉に実在する人物の幼少期をヒントにした新作落語。
「人間、いくつになっても…」という普遍的なテーマを伝えてくれます。

モデルの人物をよく知るお客様の目からは涙も。

さらにサプライズでインタビューにも協力いただいた平兄弟が、生ライブ。
印象的なリフの岳温泉らしい一曲で会場はお祭り状態でした。

配信の様子をご覧になりたい方は、こちら。
ご当地落語 岳温泉編 の全映像は、ツイキャスプレミアにて

以上で全5回のご当地落語、全て無事終了。
24の新作落語が生まれました。

ご当地落語は、コロナが生んだ業界の革新

今回の企画は、落語業界と旅館業界が、さまざまな枠組みを超えて実現した革新的なプロジェクトでした。

落語業界では、協会や流派を超えたメンバーが集まり、タブーなき生配信を繰り返し、手の内を晒しアドバイスをもらう稽古会まで開催しました。

旅館業界では、隣県の温泉地と一緒に連動した企画をしつつ、地域内でもインタビューするメンバーを集めるなど、自社以外と大きく関わりました。

コロナ禍で疲弊した両業界でしたが、落語家さんのスケジュールが空いていて、お宿も空いていなければ、実現できませんでした。コロナのなかで「なんとかしたい」ともがき苦しみ生まれました。

今回生まれた24のご当地落語は、どれもその地域らしさがふんだんに入っています
それでいて、誰かに刺さる普遍のテーマも内包しています。

全ての作品は、ご当地落語 公式サイトで台本を公開しており、誰が演じてもOK。

ぜひ多くの方にご当地落語を見ていただき、その土地を知っていただきたいですし、多くの方に演じていただき、その土地を広めていただきたいです。

ご当地落語のロゴマークは、扇子に火が灯っています。
実は、オリンピックの聖火リレーのように、トーチを持って、ご当地を駆け抜け、新作落語の火を灯し、地域を盛り上げ、広めていくのをイメージしています。

今回、前代未聞のハードな企画にも関わらず、快く引き受けてくださった立川こしら師匠はじめ落語家の皆さんには感謝とともに最大限の敬意を捧げます。本当にありがとうございました。

ぜひ、ツイッターやYouTubeも面白いですので、ご当地落語に触れてみてください。

 

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