バリアフリー改修のコツ。「さじ加減」が大事

この記事は8分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^

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バリアフリー改修は悩むとキリがない

特に、宿泊施設。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

ようやくバリアフリー貸切風呂が完成し、ホッとしている今日この頃です。

おかげさまでご利用いただいているお客様にも好評をいただいています。
ありがたやーー。

そう言っていただけるよう、設計前からかなり打合せしました。
今日は、打合せのコツをお話しします。

家庭と旅館は全く違う

ご家庭でのバリアフリー改修と、旅館のバリアフリー改修は、まったく違います。

私の家族でもそうでした。
家庭のバリアフリーは、とても考えやすいです。

なぜなら、対象が決まっているから。
「おじいちゃんのためにどうするか?」

立ち上がるのが大変になってきたから…、椅子とテーブルとベッドに。
杖をつくようになってきたから…、廊下に手すりを。
歩くのが大変だから…、車椅子とスロープに。

という具合に、その人の状況がしっかり見えるので対処も明確。
実施後も失敗しないと思います。

不特定多数が生むフルスペックの恐怖

ところが、旅館のような不特定多数の方がいらっしゃる場合。
「こんな場合もありえる、こんな時はどうする、もしかしたらこうなるかも。」と言って、ありとあらゆるものをてんこ盛りにしちゃう場合があります。

フルスペック。
ラーメン全部のせ。

特に危険なのが「手すり」。
あっちも手すり、こっちも手すり。
お風呂の水中にも水上にも壁にも縦にも横にも。

ついつけたくなってしまいます。

手すりは、必要な人にはありがたいですが、必要ない人には邪魔なもの。
でも、いろんなお客様がいらっしゃるかも…とつけたくなる。

吸盤型の手すり

そこでうちでは、吸盤型の手すりを採用しました。
壁についている固定式の手すりは、一箇所だけです。
あとは、タイルを平らにして吸盤式で対応です。

吸盤式の手すりは、後から買うこともできますが、タイルを平らにするのは最初から意図しないとできません。

シャワー・ド・バスと足湯の組合せ

当館の貸切風呂の場合は、「車椅子でもラクラク」がテーマ。
ですが、対象は車椅子から降りられる方です。

車椅子のままで入るタイプではありません。

車椅子がテーマなので、シャワーも「シャワー・ド・バス」を採用し、介助されながらでも寒くないように工夫しました。
また、足湯を組み合わせれば、もっと温かくなります。

大事なのは「さじ加減」

「全部のせ」は、かえって使いにくくなります。

大事なのは、どこまでするかのさじ加減です。
不特定多数が利用するんですが、ある程度、特定しないといけません

うちは、このくらいまでという線引き。
一見、バリアフリーに反するようですが、全部のせよりよっぽど親切です。

あとは、その情報をちゃんとお客様に事前に届けること。

このさじ加減を決めるのは、経営者です。
経営者にしかできない。

だから、改修前に経営者は、よく勉強したほうがいいです。

そのさじ加減を元に、3者が協力すれば最高の施設になります。

まず、ユーザー
今回のうちの場合は、加藤健一さんです。

車椅子ユーザーの声。
こうだと使いやすい、それだと使いにくい。

無限のパターンがあるので、さじ加減を元に絞っていきます。

次に、設計者

ユーザーの声を図面に落とし込みますが、法的にも工法的にも可能なものにしなければなりません。
できるけど高額すぎる場合には、工法の見直しも必要です。
うちは、倉橋建築計画事務所の竹内さんに担当していただきました。

高額だからあきらめる。
ではなく、できる方法がないか探る。

ここもさじ加減。

そして、施工業者

図面を形にしますが、現場にはいろんな事情が起こります。
一つ一つを解決しつつ、ゴールに向けてしっかりと。

車椅子の場合には、特に、高さが大事。

スイッチの高さ、棚の高さ、鍵の高さ。
車椅子に乗っていても届くのか?

ちょっとしたさじ加減で使いやすくなります。

最後に、経営者

最後の最後は、やはり経営者が決めるしかありません。
「どうしますか?」に「こうしよう!」

「とりあえず、バリアフリーにしといて!」という丸投げは、かなり危険です。

今年もあります!バリアフリー補助金

なんでこんな記事を書いたかというと、来年度もあるんです。

平成30年度 山形県バリアフリー宿泊施設収益アップモデル事業補助金

山形県限定の宿泊施設向けのバリアフリー補助金。
観光庁でも全国向けに出すようです。

せっかくの補助金を有効に活かすには、なんといっても「さじ加減」です。

いい宿作ろう、バリアフリー。
脱丸投げで、ともに頑張りましょう。^^

 

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