旅館業界目線で考える…ご当地落語の凄み

この記事は8分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^

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落語と旅館は相性がいい

二匹目のドジョウ。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

2021年、コロナ禍の日本で落語家と観光事業者が手を組み、作り上げた「ご当地落語」。

観光事業者目線で考えてみました。

そもそも、落語と旅館は、相性がいいです。

落語は、座布団と高座があればどこででもできます。
旅館には、宴会場があり、畳敷きで舞台や音響もあります。

さらに落語の中には、宿屋が登場するお噺も多数あります。
旅館の宿泊客は、浴衣が館内着なので、落語家だけでなく、観客も含めて会場全体が和の装いになります。

それを証明したのが、2018年に小野川温泉で行われた「湯遊び祭」。

このイベントは、毎日落語会と称し、9日間連続で毎日違う旅館などの宴会場で落語会を行いました。

昼に高座を移動し、夜は落語会。
毎日違う宿でやりましたが、どの宿でもにぎわいました。

お泊まりのお客様はもちろん、他の旅館のお客様も参加可能にし、夕食後の空いた時間にぶらりと落語を楽しむというスタイルを作りました。
この経験で、旅館であればどこでも落語会が容易にできるという確信を得ました。

落語ができそうな温泉地か?

ご当地落語では、上記の考えのもと、温泉旅館でなおかつネタになりそうな温泉地を選び、協力してくれそうな宿主に直接オファーしました。

小野川温泉は、834年に小野小町の開湯。
土湯温泉は、もっと古いオオムナチノミコト(大穴貴命)開湯。
赤倉温泉は、863年に慈覚大師円仁が開湯。
芦ノ牧温泉は、1200年前に行基による開湯。
岳温泉は、坂上田村麻呂による発見と伝わります。

どの温泉地も古く、歴史上の人物が登場します。
落語を作るのにきっとネタに事欠かないであろうという思いで選ばせていただきました。

5つの温泉地を巡ってみた今思えば、歴史以外の要素でも十分に落語を作ることができますので、住民にスポットを当てるのもアリです。

温泉地を超えた集まり

旅行は、お客さまが行き先を決めます。
いかに、自分の土地に来てもらうか?
いかに、自分の宿を選んでもらうか?
が勝負です。

お買い物は、あれも買って、これも買ってができますが、宿泊は1泊につき1宿のみ。
その1チャンスで選んでいただけるかが肝です。

ですから、観光地同士はあまり連携はしたがらないものですが、今回は、全ての宿が協力的に対応してくださいました。
落語会の経験がある宿もありましたが、落語家を受け入れて自分の温泉地で作るのはどの宿も初めての試み。

できるかわからないけど、とりあえずやってみよう!くらいの心意気で、地域を超えた5つの温泉地の連携が生まれました。

街歩きの手配

まず、最初に温泉宿にお願いしたのが、街歩きのアテンドです。

どんな場所がよいかの基準は、「ネタになるか?」です。
地元の人が「ここはちょっと…」と思ってもネタになりそうならOK。

実際、普段ならマジマジとは見ないであろう「ガマ仙人」の絵が落語の題材になりました。
地元の人の思い以上にネタは埋もれています。

場所の選択とガイドは、宿主にお願いしました。

インタビューの手配

一番難しかったのがここだったと思います。

次から次へと出てくる地元キーマンへのオファーも宿主にお願いしました。
おかげで「ネタが渋滞している」と言われるほど、豊富な中身になりました。

落語会の集客

落語会の集客も、宿主にお願いしました。

地方では、生の落語を聞く機会が少ないため、基調である反面、慣れていないから逆に身構えてしまう場合もあります。
宿主の皆さんには、その辺りの説明含め、地元の皆様を集めていただき、盛大な会にしていただきました。

観光にフィクションを取り入れたのが、ご当地落語

コンプライアンスが叫ばれる中、観光ガイドはより事実に基づかなければならなくなってきています。

「小野川温泉は、小野小町の開湯です」といえば、「ホントなんですか?エビデンスは?」と言われかねないご時世。
歴史の説明におけるガイドさんのご苦労は大変なものです。

そんなンフィクションの観光をフィクションに誘ってくれるのがご当地落語です。

前述の「ガマ仙人」。
この絵を見て、「左がガマ仙人で右が鉄拐仙人で術比べをしている絵です」とガイドしますが、ご当地落語になるとフィクションであれだけの物語ができあがります。

完全なる空想です。
でも、その空想でガマ仙人が豊かに感じられます。

マイナーでガイドするにもよくわからず、詳しく調べられないものほど、落語の味付けで豊かになりました。

「ガマ仙人」が登場する落語会の録画を視聴はこちらから。
赤倉温泉のでのツイキャスアーカイブ

また、その土地に住んでいる人の気質を抜き出したものも多くできました。
住んでいる人が見れば「モデルはあの人だな」とわかり、よその土地の人はその土地の人々の人間性を垣間見れました。

「うちには何もない!」と言いきる土地ほど、ご当地落語が力を発揮します。

もし、やってみたい主催者の方、行政の方は、温泉地に限らず、お気軽にご相談ください。

 

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