旅館ブログ

登府屋旅館 SDGS 100連発 ②

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温泉宿のSDGS

本当に100あるのか?!

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしいし、カップルではサウナも…
鈴の
宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

「SDGS100連発」の第2弾。

SDGsの最新事例でよく見かけるのが、「客室に置いていた水のペットボトルを紙パックに変えました」です。

この事例を見るたびに思うのが、あの芸人さん。

「客室のペットボトルを紙パックに変えればSDGsっていう飲料メーカーがあるんですよぅ。」

「なぁーにー!やっちまったな!」

「男は黙って、ポット。男は黙ってコップ。」

というわけで登府屋旅館のSDGs 11番目は…。

SDGS #11 客室に水のペットボトルを置かない

SDGS #12 客室に水の紙パックを置かない

脱プラスチックは素晴らしいです。
ペットボトルを置かないのは方針としては、間違っていません。

ところが、紙パックにするということは…お客様の数だけゴミが出てしまいます

事例としては、◎というより△。

ベストではないが、ベター。

優良事例ではないと思いますが、優良事例として扱ってしまうとセミナーそのものの価値が下がる気がしてなりません。
今のお客様は、そのあたりごまかされませんから、業界としてしっかりとした優良事例を考えていきたいものです。

紙パックメーカーの販売事例としては、超優良なんですが。笑

では、登府屋旅館はというと…

SDGS #13 客室に水は、ポットとコップ

 

ステンレスのポットを使っています。

氷と水を詰めて、客室に置いています。
昔からずっと。

飲むときは、コップです。

おそらくペットボトルの宿も過去には同じ時代があったと思います。

ところがあるときに…
「いちいち回収して、洗って詰めて配るの面倒くさいな」と思ったはず。
それなら、ペットボトルを配れば、一回で済むな。
スタッフの仕事が減るな。

ポットからペットボトルへシフトしたんだと思います。

それ自体は経営判断として悪くありません。
人手不足もありますし、働きやすさもあります。

ただし、手間と引き換えにゴミが出るシステムを採用しています。
採用自体は企業判断。

ただし、SDGsセミナーで優良事例で出てくるのは不思議に思います。

ペットボトルから紙パックに変えるよりも、ずっと昔からポットを使っている方がSDGsです。

お客様の数だけペットボトルのゴミを出しつづけてきた宿もあれば、ペットボトルゴミを全然出さずに今に至る宿もあるのです。

新しいことをしなくてもずっとSDGsが本物です。
同じことは、リユースの大先輩である一升瓶パイセンにも言えます。

酒も醤油も一升瓶で買い、使ったら瓶を返し、洗って詰めてまたお店で買っています。
ラベルも紙で剥がれやすく、リユースを前提とした設計。

昔は、1.5リットルのジュースも瓶で、空き瓶をお店に返すと5円くらいもらえました。
お金を動かしてでも環境負荷を減らす仕組みになっていました。

「便利だからゴミにはなるけど、ペットボトルでいいや」は、日本においては最近の合理主義的発想です。

日本人は、SDGsができる前からSDGsです。

SDGS #14 海外のミネラルウォーターを使用しない

SDGS #15 ポットにつめるのは米沢の水道水

さて、登府屋旅館のステンレスポットですが、中に詰めているのは、水道水です。

これまで大々的に言っていませんが、水道水です。
正直、隠してきましたが、水道水です。

「水道水です」と言えば、「えー!」と言われそうですが、先入観なしに飲むと、美味しいです。
「お代わりください」とかなりの頻度で言われます。

なぜなら…

米沢の水道水 ペットボトルで販売

米沢の水道水は、販売されるほど美味しいから。

日本人は、海外のミネラルウォーターをありがたがりすぎです。
成分的にどうしても違うなら仕方ないですが、輸送コストを考えるとSDGs的にはどうでしょう?
類似成分のジェネリックなミネラルウォーターは、国内にないでしょうか。

そもそも美味しいお水がない国なら仕方ないですが、日本はどうでしょう?
地球の反対側からわざわざ運んでると思うと「うーん」となりませんか?

米沢の水道水、ぜひ先入観なしでお試しください。

SDGS #16 温泉水が飲める

小野川温泉の温泉水は、飲めます。
成分豊富なのに、飲めます。

通常、成分豊富な温泉水は、検査の結果、保健所の許可がおりず、飲めないことが多いです。

小野川温泉は、「含硫黄・ナトリウム・カルシウム・塩化物泉」という成分が濃いにも関わらず、飲めます。
成分とは、ミネラルです。

つまり、小野川温泉は、天然のミネラルウォーターなのです。
ミネラルが多すぎて、塩味がするほど。

水のようにゴクゴクは飲まないでくださいね。
旅館のお風呂ではなく、温泉街の飲泉所でお召し上がりください。

SDGS #17 清水が飲める

登府屋旅館の向かいには、「滝の清水」という水飲み場があります。

その奥には、清水山という、その名もズバリの山があり、清水山から清水が湧き出ています。

たとえ、水道が断水しても、ここの水は止まりません。
今も清水が枯れないように維持してくださっている皆さんと自然に感謝です。

SDGS #18 すいかを冷やせる

実は、この滝の清水。
左側がちょっと深くなっており、夏にはすいかを冷やせます。

スイカにマジックで「登府屋」と書いて、数時間置けば冷え冷えです。
もちろんセキュリティはゼロです。

ですが、誰もスイカを盗んだりしません。
冷蔵庫で冷やすのは、何かと大変なスイカですが、みんなの清水で解決です。

SDGS #19 温泉で温泉玉子を作れる

滝の清水のそばに、「温泉玉子 専用湯船」があります。

ここでは常に温泉が流れていて、地元の商店は温泉玉子を作れます。
お客様も岩瀬商店さんで体験料を払えば、温泉玉子を作れます。

温泉を熱として、調理に活用しています。

ちなみに、世間一般で売られている「温泉玉子」は、ほとんどが温泉で作られていません。
工場で、赤外線で作っても「温泉玉子」と名乗れます。

小野川温泉では、源泉100%の玉子専用湯船で温泉玉子を作っています。
温泉の塩分が、しみこんで何もつけなくてもほんのり塩味です。

本物の温泉玉子、実は貴重なのです。

SDGS #20 温泉を湯たんぽに詰められる

常に出しっぱなしの、「温泉玉子 専用湯船」には、横のパイプからお湯を取り出せます。

地元住民は、寝る前にここで湯たんぽに温泉を汲みます

だいたい70度ですが、熱々ですので布を巻かないと火傷します。

冬の布団の中にまで温泉が活躍する温泉街。
小野川温泉は、住民もSDGs。
今までずっとそうして暮らしてきました。

登府屋旅館のSDGsというより、小野川温泉のSDGsですが、100のためにご容赦ください。

残り80個。

2月10日にシンポジウムに登壇させていただきます。
グリーンな観光・国際観光シンポジウム

オンラインもございますのでぜひお気軽にご覧ください。

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。