あなたの今夜の宿、どこまで地震に耐えられるの?
- 投稿日:
- 2015年4月11日
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旅館業界を揺るがす耐震改修促進法
あまり知られてないんです。
こんばんは。
今日は、珍しく社会派の…
鈴の宿 登府屋旅館の遠藤直人です。
さて、先日、とあるセミナーに行ってきました。
「大改造!劇的ビフォーアフター」に匠として出演されている倉橋英太郎先生のセミナー。

当館のバリアフリー特別室も設計してくださった匠・倉橋英太郎先生
テーマは、「耐震化」でした。
実は、今、旅館業界では、業界を揺るがす大きな問題に直面しています。
さかのぼること、昭和56年。
大きなターニングポイントがありました。

耐震化に関する法律の変遷
建築基準法は、昭和25年に作られました。
その後、いくつかの大きな地震を受け、「もっと地震に強い建物にしなくてはならないのでは?」と昭和56年に変わりました。
なにが変わったかというと、基準を厳しくしました。
新しい耐震の基準ができたのが、昭和56年。
だから、昭和56年がターニングポイントなんです。
その宿は、昭和56年以前の建物なのか?
昭和56年以降の建物なのか?
たったそれだけのことで、安全性が変わるのです。
法律的には…
■旧耐震基準
震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことを検証■新耐震基準
震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことに加え、震度6強から7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないことを検証
ざっくりいえば、「震度5まで」なのか「震度7までなのか」。
建てる上での基準なの、当然、材料や建て方、設計図も変わり、コストも変わります。
この昭和56年のターニングポイントが今、問題になっています。
これまでは、「耐震化を進めましょう」という努力義務でした。
努力義務なので、実施しなくても罰則はありません。
当然ですが、なかなか進みません。
そこで、また新しい法律ができました。
「耐震改修の工事はともかく、まずは診断だけでもしなさい。そして、結果を公表しなさい。」
という法律。
本格的な工事ではなく、まずは診断。
それも、大きな建物からやりなさい。
というわけで…
耐震診断が義務となります。
努力義務ではなく、義務。
今のところ、対象となるホテル・旅館は、以下の3点に該当する建物。
①1981(昭和56)年5月31日以前に新築工事に着手した
②階数3以上
③床面積5,000平方メートル以上
要は、古い耐震基準で建てられた旅館やホテルでサイズが大きいものです。
とはいえ、耐震診断や工事には、けっこうなお金がかかります。
それをしたからといって、お客さまがいらっしゃるわけではありません。
やらないと…、危ない。
診断したら…、結果は公表。
それで工事が必要なら…、お金がかかる。
やったからといって…、売上につながらない。
そんな事情から、悩んだ結果、廃業を決める宿も出てきています。
詳しく知りたい方は、コチラ。
お客様の命にかかわる問題ですから、仕方がないです。
いつ地震があるかわからないわけで、進めるしかないです。
旅館の場合、建て増しも多く、手前は新しいけど、奧は古いこともあります。
おそらく、最初は大きい建物からはじめて、徐々に規模の小さい建物も対象になると思います。
規模の大小ではなく、命にかかわる問題ですから。
鈴の宿 登府屋旅館の場合
当館の場合、上の基準に照らすと…。
古い建物をすべて取り壊して、全面改装したのが、1994(平成6)年です。
よって、新耐震基準で建てられています。
階数は、3階ですが、5,000平米ありません。
よって、今回の問題には該当していない新耐震基準の宿です。
自分も泊まりにいったときは、「建物がいつのものか?」とか、「耐震基準は?」とか、考えません。
でも、宿を運営する側は、そこまで気を使わなければならないんです。
料理とか、サービスも大事ですが、一番大事なのは、事故が起こらないこと。
そんなわけで業界の内部事情ですが、「いろいろ考えることあるんだなー」と思っていただければ、幸いです、
