旅館ブログ

激震!ネット旅行3社への公正委の立入り、に想う

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ネット系旅行会社3社に独禁法違反容疑

衝撃でした。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

まずは、ご存知ない方はこちらのニュースから。

楽天トラベルなど3社への立ち入り

大手からのパワハラ?

以前から一部の旅館経営者の間では「これって、独占禁止法に違反するんでは?」と言われていました。

ネット系旅行会社による最安値の強要

今や、旅館では複数のネット系旅行会社と契約するのは当たり前。

A社、B社、C社、D社…。

それぞれにプランを登録します。
それぞれのサイトで販売します。

お客様はA社のサイトで宿を検索して選ぶ。
それが当たり前だった時代がありました。

ある瞬間。
ネット上での旅行販売は、強烈な弱肉強食の世界に変わりました。

トリバゴ、トラベルコといった、価格比較サイトの登場です。

価格コムの旅行版ですね。

「A社、B社、C社、D社…で、一番安いのは、C社ですよ。
この宿に泊まるなら、C社がいいですよ。」
となる。

価格コムでわかる通り、安値2位以下は、売れません。
最安値の1位しか売れませんから。

すると、当然ですが、「うちのサイトに一番安いプランを出してくださいよ」となる。

旅行会社による最安値への流れは、ある意味、必然。
システムの発達が引き起こす、当然の結末でした。

そして、2位以下のサイトは一切売れなくなりました。

横流し商売は、いずれ消えゆく

歴史は繰り返します。
同じようなことは、過去にもありました。

例えば、近所の八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さんなど。
昔は、近所に商店街があるのが当たり前でした。

お店が市場で仕入れて、売る。
仕入れて売る商売が、特定の地域で成立していました。

スーパーマーケットの登場により、同じモノを買うなら、より安いスーパーへとなりました。
八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さんの多くは姿を消しました。

旅行会社も同じです。
旅行会社自体にお客様を泊めることはできません。
必ず旅館から客室を仕入れ、販売しなければなりません。

同じものを横流しすると、価格比較され、最安値だけが生き残ります

だから、最安で売らなければならない。
ある意味、論理的です。

ただ、前述の通り、1位しか生き残れない。

実は、街の商店街でも、生き残れたお店があります。

例えば、自家製コロッケをはじめたお肉屋さんです。
仕入れて売る、ではなく、加工して売る。

スーパーにはできない、スーパーのコロッケとはまた違うオリジナル商品を売り出しました。

最たるものは、お菓子屋さんです。
お菓子屋さん、ケーキ屋さんは、販売もしますが、メーカーとして揺るぎない力があります。
商品を開発し、オリジナル商品を売り出せます。

メーカーになれれば、横流しから脱却できるのです。

果たして、ネット系の旅行会社はどうでしょう?

今回の公正取引委員会の立ち入りは、いい転機ではないでしょうか?

旅行会社が変わるなら、今!

最安値なのか?
付加価値なのか?

これまで、ほとんどのネット系旅行会社は、最安値サイドが大多数でした。

しかし、最安値は、ビジネスホテルや、ユースホステル、さらには民泊に負けます。

厨房があり、メーカーでもある旅館の価値を活かすには、付加価値サイドで展開すべきなのに、付加価値ある旅行を提案する努力が、欠けていました。

「いや、うちはしていた。バリアフリーの宿の特集ページもある」

そのページは広告料を取っていませんか?
お客様目線のコンセプトで宿を集めるのは、とても大事です。

しかし、広告料を取った時点でテーマに沿ったベストチョイスではなくなります。
テーマのもとで広告料を払った宿特集になってしまいます。

紙の媒体なら仕方ないです。
広告料なしでは、紙を印刷できませんから。

でも、ネットの場合には、売れれば旅行会社に手数料が入ります。

広告料なしで、自分たちの責任で旅館をチョイス。
リピートされるような特集ページで手数料収入をあげる。

ネットならできます。

さらに、
・宿とともにオリジナルの商品を作る。
・テーマに詳しい旅行のプロを育て、発信役にする
・成果が上がったら、特集ページを独自サイトに変えていく

そして、サイトの信用力を高め、最安値競争から脱する。

価格比較というシステムだけでできてしまうことに対抗するには、人が介在していくしかありません。

宿としても「最安値にしてください」と言われるのと「宿に一番合った特集ページに掲載しますので、プランを一緒に考えましょう」と言われるのでは、全然対応が変わります。

システムが発達するからこそ、人間の腕の見せどころです。
旅行会社の皆さんのプロとしての発想と実行力に期待しています。

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。