旅館ブログ

盛り上がる設計会議。加藤健一さんと究極の貸切風呂づくり

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貸切風呂に向けた設計会議

一番大事なのは、誰の声?

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

設計会議が、盛り上がりました。

来月からの施工に向け、みんなで意見を出し合う設計会議。

設計は、倉橋建築設計事務所の竹内さん。
理想的なデザインを図面に落とし込みます。

施工は、本多建設の小山さん。
図面を見ながら、工法を検討し、納期にあわせ、現実に近づけます。

依頼主は、私。
宿のお客様を思い浮かべながら、本当に必要な機能を絞り込み、予算を準備します。

と、普通ならこの3者でできあがるものですが…。

今回は、さらに強力な助っ人が!
山形バリアフリー観光ツアーセンターの加藤健一さん。

各自の立場で貸切風呂を話し合いました

それぞれの立場が違いますが、加藤さんはユーザー目線
ユーザーならではの独自のアイデアが出るわ、出るわ。

やってほしいこと、やっちゃいけないこと。
他の3名では気づかない細かいところもたくさんありました。

タイル1つとっても、ユーザー目線

例えば、タイルは、色と形で選んでしまいがちですが、表面の手触りはもちろん、目地(めじ)の面積まで含めていろいろ考えました。
目地の面積が広ければ、ツルツルのタイルでも目地がストッパーになります。

究極の貸切風呂とは?!

さて、今回のテーマは、「究極の貸切風呂」

でも、結論を言っちゃいます。
旅館で究極の貸切風呂は、無理です。

究極の貸切風呂は、自宅のリフォームが最強です。

自分のおじいちゃんやおばあちゃんといった、「明確な一人のユーザー」に対してカスタマイズしていく。例えば、右半身まひなら、右麻痺にベストな位置に手すりをつけたり、身長に合わせたり。これはその方にとって、最高です。

つまり、確実にカスタマイズできる自宅リフォームが究極です。

それに対して、旅館の貸切風呂は、様々なお客様が使います。
障がいは、人それぞれ。
同じ障がいでも状況は様々です。

すると、ありがちなのが、全員でも使えるようにする「全部ノセ」。

右麻痺なら、この位置。
左麻痺なら、この位置。
お風呂の中では、ここ。
お風呂上がったら、ここ。

結果、ありとあらゆる場所が手すりだらけに。

これ、ありがちなんです。
クレームになりたくないから、よくわからないから、とりあえず「全部ノセ」。
特に、旅館と施工会社だけで作るとこうなりがちです。

手すりでもなんでもそうですが、ある人には必要でも、ある人には必要ないもの。
ですから、「全部ノセ」は、一見よさそうで、よくありません。

それを防ぐためには、ある人を対象に作ってみるのが一番だと思います。
なるべく多くの人に使えるように考えつつも、全部ノセにならないように。

結果、ある人(佐藤さん)にはラクラクで、ある人(鈴木さん)にはイマイチになるかもしれません。
ハードである以上、それはしょうがないんです。

まずは、佐藤さんをしっかりイメージして作る。

すると、このお風呂は佐藤さん向けで、鈴木さんにはちょっと使いにくいかもしれません。
ただ、佐藤さんと同じ状況の方には使いやすい。

じゃあ、鈴木さんはどうするの?

次は、鈴木さん向けのお風呂がないか、探せばいいんです。
幸い、今、山形県全体がバリアフリーに向け、力を入れています。

「うちは、佐藤さん向けです。」
と分かれば、違う宿は、鈴木さん向けを作ればいいんです。

全部ノセが無制限に増える現状から、大きな変化です。

誰にでもラクラクというのは、理想ですが、ハードの場合は、限界があります。
その限界を認め、ある人に使いやすくしていく。

うちは、こういうお風呂。
ここに工夫をして、こういう人向け。
一個人を意識して作るのが、究極なんです。

ですから、究極の貸切風呂は、みんなそれぞれが作れます。
ぜひ宿泊施設の皆様は、自分の宿のスタイルを探していただければと思います。

山形新聞まさかの新聞にまで

そして、同時並行でやっているのが、クラウドファウンディング。

おかげさまで、いろんなところでお声をかけていただきます。
みなさま注目してくださっているようでありがたいです。

貸切風呂をみんなで作るクラウドファウンディング

設計図もだいぶ見えてきて、いよいよ細部へ。
貸切風呂の完成は、2月下旬です。^^

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。