旅館ブログ

現代に通じる古典落語「黄金の大黒」

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古典落語の楽しみ方

301号室です。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

当館のお部屋に落語のタイトルをつけて半年が過ぎました。
当初おそれていたクレームは一切なく、むしろ楽しんでいただけています。

落語好きな方の方がリアクションがいいのは、間違いないのですが、落語好きじゃない方にも楽しんでいただけるよう…。

まずは、301号室から。
「黄金の大黒」

「おうごん」ではなく「きん」の大黒

「長屋の花見」の続編のような長屋が舞台のお話です。

〜あらすじ〜

長屋の連中に家主から呼び出しが掛かる。
年の暮れだし、今度こそは店賃の催促と思って戦線恐々。
一同、覚悟の上で家主の家へ行こうとしている所へ、正確な情報が伝わる。

たまたま子どもたちが家主の普請場で砂遊びをしていたら、家主の子どもが金の大黒様を掘り出したという。
めでたいので、長屋中で祝って大黒様をお迎えしなければならないから、みんなで紋付きの羽織を着て祝いの席に来てくれとの話。

長屋の連中、祝いの席でご馳走を食いたいのはやまやまだが紋付の羽織がない。
持っているのは、ちゃんちゃんこ、印半纏(しるしばんてん)、どてらと情けない有様。

なんとか羽織らしいものを見つけ、交代で着ることにして、一同揃って家主の所へ…。

というお話です。

この後、長屋でのトンチンカンなやりとりが面白いお話です。

ドレスコードとテーブルスピーチ

落語は、単なるギャグの集合体ではなく、その根底に人間社会に潜む面白さが描かれているものです。

このお話では、「ドレスコードとテーブルスピーチ」
カタカナにすると途端に身近な問題になりますね。

案内状に「平服でお越しください」と書いてあっても、どの服がいいか、悩むもの。
貧乏長屋の連中にとって、羽織の指定です。

揉めないわけがありません。

そしてこのお話では、「気の利いた口上」を述べるという、現代のテーブルスピーチのようなシーンが描かれます。

これまた、緊張するもの、慣れない敬語に戸惑うもの、トンチンカンな話をするものなどなど、次々に現れ、笑いに繋がっていきます。

登府屋旅館オリジナル手ぬぐい「黄金の大黒」

その根底にあるものとは…
「見栄」です。

自分たちは、貧乏長屋に住んでると思っている連中でも、いざという時は見栄を張る。
これって、現代にも通じますよね。

晴れの舞台と見栄。
この点に着目して話を聞くと、とても感慨深いお話です。

身近にもあるな、現代にも通じるな、と思えます。

そんなわけで、談志師匠の音源をお楽しみください。

けっこう若い頃の談志師匠

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。