貸切風呂、小さいけど大きな工夫 〜のれん・脱衣室 編〜

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「旅館だから!」と自動思考で決めがち

よーく考えよう!

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

「業界の常識、世間の非常識」なんて言いますが…。

ついつい旅館業界にいると自動的に考えちゃう部分というか、考えないで決めちゃってる部分が多々あります。

例えば、のれん

一般的なのれん

旅館としては、「お風呂の前には、のれんでしょ。」
そう考えます。

そして、一般的には、のれんといったら、この形。

これが正解というか、これ以上、考えません。

でも、ここを車いすを押しながら通ってみて、ふと思います。
「この布、引っかかる。。。」

旅館としては、自動思考でお風呂の前には、のれん。
でも、お客様としては、引っかかるかも。

その引っ掛かりを手でさばいて入るのが、良さでもあるんですが、手でさばけない場合は?
考えたら、「のれんってどうなんだ?」と本気で悩みました。

「もしかして、作り手の自己満足?ないほうがいいのかな?」

悩みに悩んだ答えが、こちらでした。

バリアフリーのれん

決して「バリアフリーのれん」という名前ではありません。
「布の力 久磨衣」さんのカタログをみていたら、見つけた形。

布の力 久磨衣

3つに分かれて、長さが違う。
ちょうど車椅子で押していくと引っかからない上、のれんをくぐって雰囲気も味わえます。

特注品で1ヶ月ほど待ちましたが、待って正解でした。
車椅子のための のれんと言っていい。

自動思考は脱衣所にも

もう一つ、自動思考がありました。

脱衣所の椅子です。

様々な受け入れの経験を通して「座った姿勢を保てない方もいらっしゃる」と知りました。
ですから、脱衣所に置くのは椅子ではなく、ベッドに近いものがあるとよい。

ここまでが私の自動思考でした。

当初、予定していた畳敷きの長椅子

これが正解!
そう思っていました。

「だって、旅館だから和の雰囲気にしたいし、畳は肌触りいいし、言うことなし!」
そう思っていました。

でも、実際にユーザーの声を聞くと…
「角が木だと痛いことがある。」

畳だとどうしても周りを木の枠で覆わなければなりません。
その木の枠が、障がいによってはぶつかって痛いそうです。
畳が悪いわけじゃないんですが、しょうがない。。。

柔らかい素材の椅子

悩んだすえにできたのが、こちらのベッド型椅子

まず、大人が横になっても余裕なほど、広い。
素材は、トラックの幌(ほろ)などに用いられる丈夫なビニール。

大江車体特装さんの特殊素材を使っています。

濡れても大丈夫。
中にはクッションが入っていて柔らかい上、角も丸く仕上げてもらいました。
移乗の際に挟まって痛くなりにくい。

 

下には、脱衣カゴを置けるスペースを作り、その場で着替えやすくしました。

ユーザーの声をどれだけ聞けるか?

ユーザーの声というのは、事前にとるのは、とても難しいものです。
だって、完成していない=ユーザーはゼロですから。

できてから、「もっとこうなってればね」というユーザーの声は、あとの祭り。

そうならないためのアドバイザーが必要です。
当館は、山形バリアフリー観光ツアーセンターの加藤健一さんにお願いしました。

今後、施設のバリアフリー化は、全国で行われていくと思います。
そんな中、あとの祭りにならないよう、「自動思考してるかも?」と気をつけつつ、改修したいものです。

 

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