落語「小言幸兵衛」から旅館を考える。クレームを恐れすぎる管理職
この記事は7分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^
小言も過ぎると、妄想になる。
こんにちは。
立川流大好きの…
鈴の宿 登府屋旅館の遠藤直人です。
先日、お江戸日本橋亭という寄席に行きまして、落語を聞いてきました。
トリで登場したのが、立川こしら師匠。
年齢的には、私と同級生。
若手ならではの感性で独自の世界観がありました。
演じてくださったのが、「小言幸兵衛(こごとこうべい)」。
長屋の主人のお話です。
簡単にいうと…
麻布は古川の家主で幸兵衛さん。
のべつまくなしに長屋を回って小言を言っているので、あだ名は「小言幸兵衛」。
とにかく、細かい。
とにかく、他人のあらを探すのが上手。
とにかく、対応策まで明快に答えられる。
頭のいい人なんだと思います。
見ただけでなにがダメで、どうしたらよくなるかまで、瞬時に判断できる。
そこに長屋を借りたいという見込み客がやってきまして、やりとりが面白いというお話です。
最初に、やや荒っぽい、雑な感じの客がやってきます。
当然、そんな人には、部屋を貸せません。
2番目にやってきた客は、品行方正で穏やか。
この人ならいいかと思いきや、幸兵衛さんが頭脳明晰すぎて、最終的に断っちゃうことに…。
マイナスの想像力は危険
2番目の客は、仕立て屋さん。
話を聞くと、20代のイケメンの息子がいるという。
まだ、結婚していない一人息子の彼がもし引っ越して来たら、古着屋のおはなちゃんとくっつくだろう。
お互い一人っ子なので、あとつぎ問題が発生して、最終的に親が反対、本人たちは家を出て、心中するに違いない。
と、妄想してしまう話です。
だから、お前に貸すわけにはいかないとお断りしてしまいます。
この発想、旅館でもよくありますね。
「支配人、こんなアイデアを考えたんですが、やってみませんか?」
「こんなことやって、こうなってああなって、他のお客様のクレームになったら、だれが責任取るんだ!ダメダメ!」
経営者と現場に板挟みになっている支配人にありがちな発想。
やってみる前から、クレームにならないかを心配し、一歩踏み出せない。
そうなんです。
どうして幸兵衛さんと同じ発想になってしまうのか?
それは、大家も旅館も同じだからです。
大家も旅館も、他のお客さまがいて、その人が隣接する商売です。
大家さんが、長屋の部屋を1部屋貸すと、その両脇には他のお客様がいます。
もしも、問題児が入居すると、隣からクレームが入る。
「なんであんな人に貸したんだ」と。
旅館も同じです。
他のお客さまに迷惑がかかるといけないから、ビビってできない。
大家も旅館も、ゲストに対するホストなんです。
「あなたはそれでいいかもしれませんが、隣の人が迷惑かもしれない。
だから、私が事前に防ぐ。」という発想。
でも、この発想。
とても危険です。
最終的にビビって何もできなくなります。
落語だと笑ってられますが、ホントにありますからね。
クレームに過敏になってるな!と思ったら、幸兵衛さんを思い出しましょう。
立川こしら師匠の斬新さ
そんななか、クレームも恐れず、古典落語に大胆なアプローチをしていた立川こしら師匠。
ちょっとご紹介しますね。
噺の前にタイトルを言う
落語って、何の話かは、聞き進めないとわかりません。
マニアになれば、まくらという最初の段階でピンと来るらしいですが、普通は本編にならないとわかりません。
しかも、タイトルは最後まで言わないので、初めての方はなんという話だったかわからないまま終わります。
「推して知るべし」という感覚が日本人的でもあるんですが、初心者がとっつきにくいのは、たしか。
その点、こしら師匠は、さすがです。
いきなり、「それでは、お届けします。小言幸兵衛!」という具合にタイトル言っちゃうんです。
これだけで、会場は大爆笑でした、
ボイパが入る
ボイパ=ボイスパーカッション。
アカペラグループなどが行うボイパが途中入っていて、芸の幅を感じました。
さりげなくいろんな芸を楽しめるのが落語のいいところです。
ロミオとジュリエットな展開
これは、こしら師匠独自のアレンジ。
小言幸兵衛の途中の妄想が、ロミオとジュリエットになります。
もう西洋なのか江戸なのかわからない設定なんだけど、それがまた面白い。
話をして、あとはお客さまに想像してもらう落語ならでは。
そんなわけで落語は現代にも通じます。
またそのうち寄席の話を書きますね。^^
次は、「平林」かな。
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