雷鳴と豪雨。ピンチを逆手にとる落語!湯あそび大落語会

この記事は9分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^

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伝説の会になりました

落語ってすごいと改めて。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

落語会レポートシリーズもこれが最後。
6月30日に甲子大黒天の本堂で行われた大落語会についてです。

8日連続の落語会を宿の宴会場で行なって、一旦インターバルを開けての大落語会。
会場は、甲子大黒天本山です。

すごいラインナップでした。

奇跡のラインナップ


まず、おなじみ小野川温泉担当真打の立川こしら師匠。

こしら師匠の一番弟子にして全ての湯あそび落語会に出演した前座の立川かしめさん。

そして、NHKの「落語ディーパー」などにもご出演の二ツ目・立川吉笑さん。

このラインナップが小野川でできるというのは、奇跡です。

本当にうれしかったです。

喜び勇んで開催した会が、あとあとあんなことになるとは…

立川かしめ「金明竹」

まずは、かしめさんの「金明竹」。


「与太郎=馬鹿」というのが落語の世界のセオリーですが、その定説に新説「馬鹿は馬鹿でも…」を持ち込んだような作り。
どんな与太郎かは、実際に聞いてお確かめくださいね。

安定の開口一番

お寺の本堂なので声がよく通ります

かしめさんは、9回の湯あそび落語会に全出席なさって、すべて違う噺をなさいました。

前座とは思えない持ちネタの数。さすが、立川流です。

立川こしら「手紙無筆」

この日は、こしら師匠が、意外にも2番手。

こしら師匠の「手紙無筆」


こしら独特の「手紙無筆」なのでしょうが、「手紙無筆」のオーソドックススタイルを聞いたことがなかったので逆に新鮮でした。


こしら師匠の落語を楽しむには、オーソドックススタイルをきちんと入れてから聞いた方が、よりわかって面白いと感じた次第です。
自分、勉強不足でした。

3人でのトークコーナーも

立川吉笑「一人相撲」

吉笑さんは、「一人相撲」を披露。


一度、聞いたことあるネタですが、やはり面白い。
京都のご出身なので、関西弁も流暢です。

相撲好きにはたまらない話

吉笑さんらしい細かい観察眼が光る一席。
笑いに笑って、お仲入り(休憩)。

仲入りで状況が一変。最悪の天気に!

仲入り(休憩)で、まさかの展開。
いきなりのゲリラ豪雨になりました。

お寺の本堂を打ちつける激しい雨。
稲光と雷鳴。
しかも、雷が「この山に落ちたんじゃないの?」というくらい近い。

ゴロゴローじゃなくて、ズジャ!っという激しい音。
会場も薄暗くなってしまいました。

私が落語会をやってきた中で最大のピンチです。
なぜなら落語は、とても繊細な芸能です。

落語家さんの話を聞いている人が頭の中で思い描きます。

ですから、なるべく集中できる環境が必要です。

廊下を歩く人の声や隣の部屋で食器を片付ける音など、些細な音でも集中が削がれます。
それなのに、それなのに。

まさかの雷鳴と豪雨と稲光。
何より、聴衆の心に「今日は、帰れるんだろうか?」という不安が芽生えています。
はっきり言って、落語どころじゃない。雨が心配。

とりあえず、できることからと照明を足してみました。
それが、こちら。

薄暗すぎるでしょ

なんか、怪談みたいな雰囲気。
でも、ないよりまし。

とりあえず、雨と雷の音と稲光はどうしようもないので、あきらめて会を始めました。

立川かしめ「道灌」

この時ほど、落語の力を思い知らされた瞬間はありません。
かしめさんの選んだネタ「道灌」は、大雨のなか雨具を借りにいく話。
このネタが始まった途端、会場の雰囲気が一変しました。
もう、豪雨も雷鳴もすべて落語の神が演出として用意したかのよう。

「道灌」が会場の空気を一変

全然気にならなくなり、というか、それがかえっていいシチュエーションとなり、物語に集中できました。

立川吉笑「約百物語」

続く吉笑さんも素晴らしいネタ選び。
みんなで集まって怪談をする話。

怪談するにはちょうどいいシチュエーション

これがまたピッタリ。
大雨の不安感も相まって一緒になって怪談を聞いている雰囲気で話に入り込めました。

稲川淳二さんが出てきそう

立川こしら「夢金」

こしら師匠も続きます。

薄暗い夜の話。

こしら師匠の「夢金」

3名全員でこの悪状況をいかに利用してチャンスにするかという落語でした。

本当にチャンスに変えてしまうのを目の当たりにして感動しました。

落語を聴くのに最悪のシチュエーションはないはずなのに。

今となっては、あのシチュエーションで聴けて良かったと思えるという。

改めて落語のチカラを見せつけられました。
また、落語家の技量に鳥肌が立ちました。

第1部のネタ

第2部のネタ

その後、抽選会をして米沢牛や宿泊券をお客様にお配りし、終わる頃には、無事雨も止んでいました。

終わってみれば、雨と雷に感謝すら覚える会となりました。
落語のチカラ、ハンパないっす。
人間の脳の順応性もハンパないっす。

すべて終わってホッとした瞬間

私の思いつきで始まった9日間に及ぶ落語会。
前代未聞の取り組みを快く引き受け、会場を貸してくださった他のお宿、大黒天の皆様、ありがとうございました。
また、超ハードなスケジュールの中、動画を撮ったり、落語会をしたり、動画を編集したり。
無茶な企画にお付き合いいただいた立川こしら師匠はじめ、談吉さん、吉笑さん、寸志さん、かしめさん、ありがとうございました。
中でも、かしめさんは、徹底的にハードな滞在となり、感謝してもしきれません。

超実験的な試みでした「湯あそび落語会」。

今はまだ終わったばかりでホッとしていますが、機会があればまたいつかどこかでやりたいと思っています。
その時は、ぜひお越しくださいね。
登府屋旅館での「寄席どうふ」もぜひまた。^^

 

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