盛り上がる設計会議。加藤健一さんと究極の貸切風呂づくり
この記事は7分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^
貸切風呂に向けた設計会議
一番大事なのは、誰の声?
3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。
設計会議が、盛り上がりました。
来月からの施工に向け、みんなで意見を出し合う設計会議。
設計は、倉橋建築設計事務所の竹内さん。
理想的なデザインを図面に落とし込みます。
施工は、本多建設の小山さん。
図面を見ながら、工法を検討し、納期にあわせ、現実に近づけます。
依頼主は、私。
宿のお客様を思い浮かべながら、本当に必要な機能を絞り込み、予算を準備します。
と、普通ならこの3者でできあがるものですが…。
今回は、さらに強力な助っ人が!
山形バリアフリー観光ツアーセンターの加藤健一さん。
それぞれの立場が違いますが、加藤さんはユーザー目線。
ユーザーならではの独自のアイデアが出るわ、出るわ。
やってほしいこと、やっちゃいけないこと。
他の3名では気づかない細かいところもたくさんありました。
例えば、タイルは、色と形で選んでしまいがちですが、表面の手触りはもちろん、目地(めじ)の面積まで含めていろいろ考えました。
目地の面積が広ければ、ツルツルのタイルでも目地がストッパーになります。
究極の貸切風呂とは?!
さて、今回のテーマは、「究極の貸切風呂」。
でも、結論を言っちゃいます。
旅館で究極の貸切風呂は、無理です。
究極の貸切風呂は、自宅のリフォームが最強です。
自分のおじいちゃんやおばあちゃんといった、「明確な一人のユーザー」に対してカスタマイズしていく。例えば、右半身まひなら、右麻痺にベストな位置に手すりをつけたり、身長に合わせたり。これはその方にとって、最高です。
つまり、確実にカスタマイズできる自宅リフォームが究極です。
それに対して、旅館の貸切風呂は、様々なお客様が使います。
障がいは、人それぞれ。
同じ障がいでも状況は様々です。
すると、ありがちなのが、全員でも使えるようにする「全部ノセ」。
右麻痺なら、この位置。
左麻痺なら、この位置。
お風呂の中では、ここ。
お風呂上がったら、ここ。
結果、ありとあらゆる場所が手すりだらけに。
これ、ありがちなんです。
クレームになりたくないから、よくわからないから、とりあえず「全部ノセ」。
特に、旅館と施工会社だけで作るとこうなりがちです。
手すりでもなんでもそうですが、ある人には必要でも、ある人には必要ないもの。
ですから、「全部ノセ」は、一見よさそうで、よくありません。
それを防ぐためには、ある人を対象に作ってみるのが一番だと思います。
なるべく多くの人に使えるように考えつつも、全部ノセにならないように。
結果、ある人(佐藤さん)にはラクラクで、ある人(鈴木さん)にはイマイチになるかもしれません。
ハードである以上、それはしょうがないんです。
まずは、佐藤さんをしっかりイメージして作る。
すると、このお風呂は佐藤さん向けで、鈴木さんにはちょっと使いにくいかもしれません。
ただ、佐藤さんと同じ状況の方には使いやすい。
じゃあ、鈴木さんはどうするの?
次は、鈴木さん向けのお風呂がないか、探せばいいんです。
幸い、今、山形県全体がバリアフリーに向け、力を入れています。
「うちは、佐藤さん向けです。」
と分かれば、違う宿は、鈴木さん向けを作ればいいんです。
全部ノセが無制限に増える現状から、大きな変化です。
誰にでもラクラクというのは、理想ですが、ハードの場合は、限界があります。
その限界を認め、ある人に使いやすくしていく。
うちは、こういうお風呂。
ここに工夫をして、こういう人向け。
一個人を意識して作るのが、究極なんです。
ですから、究極の貸切風呂は、みんなそれぞれが作れます。
ぜひ宿泊施設の皆様は、自分の宿のスタイルを探していただければと思います。
そして、同時並行でやっているのが、クラウドファウンディング。
おかげさまで、いろんなところでお声をかけていただきます。
みなさま注目してくださっているようでありがたいです。
設計図もだいぶ見えてきて、いよいよ細部へ。
貸切風呂の完成は、2月下旬です。^^
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