現代に通ずる古典落語「富久」

この記事は6分ぐらいで読めます♪読み応え十分!どうぞお付き合いください^^

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昔からあった宝くじ、今はない幇間

幇間。
「たいこもち」のお噺です。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

現在も根強い人気のある「宝くじ」。
江戸時代は、「富くじ」と言われました。

現在においては、もはや存在しない職業。
それが、幇間(ほうかん)。

「たいこもち」とも呼ばれ、宴会を盛り上げる男の芸者さんのような存在です。
ホストというほど、イケメンではなく、どちらかといえばお調子者の芸人のような存在です。

主人公は、たいこもちの久蔵。
富くじと久蔵で「富久」。

今日は、「富久」を考えます

あらすじ

ある年の暮れ。
長屋に住む幇間の久蔵は、酒の失敗で顧客をしくじり、仕事を失ってしまう。
そんな中、友人が一枚の富くじの札を持ってやって来る。

「一番富(=1等)に当たれば千両、二番富でも五百両になる」とそそのかされ、その気になった久蔵は、なけなしの一分で「鶴の千五百番」の札を買い、神棚に供えた。

その日の夜、日本橋横山町あたりから火事が出る。
長屋の住人は「たしか、久蔵がしくじった旦那が、あのへんじゃないか? 見舞いに行かせればしくじりが治る」と気を利かせて、眠っていた久蔵を起こす。
話を聞いた久蔵は、喜び勇んで長屋を駆け出す。

久蔵が商店に駆けつけると、彼の期待通り主人は喜ぶ。
避難を手伝い、主人は店への出入りを許し、久蔵は大喜び。

火事は店まで延焼せずに鎮火。
久蔵は、店に来る見舞い客の応対と、帳面への客の名の記入を担当。
客から酒が届き、久蔵は主人にその酒をねだり、飲むことを許される。

酒を飲み、寝入っていると、ふたたび火事を告げる半鐘が鳴り響く。

「今度はどこだ?」
「久蔵の家のほうじゃないか」

店員があわてて久蔵を起こし、提灯を持たせて帰す。
久蔵が戻ると、長屋は跡形もなく灰に。

翌日、久蔵は、富くじの抽選会の前を通りかかる。
自分が買っていたことを思い出し、千両の当たり番号を聞いてみると…。

「富久」に垣間見える人間らしい3つのポイント

賭け事が出てきますが、カジノではなく、火事の話。
極限状態だからこそ、見えてくる人間の面白さが描かれます。

落語は、演者さんによって演じ方が変わりますので、あくまで私の解説は、私が今まで聞いてきた師匠から得た私なりの捉え方です。

酒は、しくじりのもと

心当たりのある方は、多いのではないでしょうか?
酒でしくじる。

私も数々、しくじっています。

でも、大丈夫。
落語は、宗教の戒律ではありません。

酒はしくじるから飲まないようにしよう、なんて野暮な事は言いません。

談志師匠の有名なお言葉があります。

「酒が、人間をダメにするんじゃない。
人間がダメだということを教えてくれるものである。」

宗教と真逆でしょ?

いいんです。

飲んでも。
酔っても。
へべれけでも。
やらかしても。

酒が悪いんじゃなく、そういう人ってことです。

火事の詫びは叶う

火事という人生最大級のピンチ。
わざわざ遠くから駆けつけて、手伝う久蔵。

今までのしくじりを水に流す旦那。

「火事の詫びは叶う。」
相手が本当に困っているときに過去のしがらみを乗り越えて助ける。

昔の人は、うまいこといったもんです。
人生をうまく生きるコツです。

人間は欲深い

後半、富くじのくだり。

今まで貧乏だった久蔵。
くじを巡って、人間性むきだしになります。

何も久蔵だけじゃありません。
富くじの抽選会場にいる他の客も欲丸出し。

人間の欲深さが描かれます。

描き方も落語家さん次第で見所の一つです。


志ん朝師匠の「富久」

酒に火事に宝くじ。

落語らしいテーマが散りばめられたいいお噺です。

 

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