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源泉100%掛け流しの秘密。温泉の裏側

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ご存知ですか?源泉100%掛け流し

けっこう難しいものなのです。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

お風呂にとって、一番大事なのは、温度です。
ぬるくても、熱くても入れません。

温泉を湯船に注げばいいわけですが、湯船が広いと温泉の管理がなかなか大変なのです。

そこで温泉を管理するのには、いくつかのやり方があります。

温泉を管理する2つの方式

【循環式】

浴槽に温泉を注ぎ込むのとは別に、浴槽のお湯を底から引き込み、一旦ろ過して再度利用する方式です。
ろ過機を通して、汚れやゴミを取り除きます。
広い浴槽や源泉が少ない場合に有効です。
塩素などでの殺菌が義務付けられます。

【放流式(かけ流し式)】

浴槽に新しいお湯を常に注ぎこみ、溢れさせます。(オーバーフロー)
あふれたお湯を再利用することはありません。
湯はり時から「温泉のみ」で湯はりし、かけ流しも「温泉のみ」の場合には、「源泉100%掛け流し」となります。

当館は、以前は循環式でした。
それを源泉かけ流し式に変更しました。

ですから、どちらのメリットもデメリットもわかります。

工事にあたっては循環のポンプをなくし、配管の穴を塞げばいいわけですが、一番困ったのは温度管理でした。

源泉100%かけ流しの場合、温泉のお湯を湯口からが流します。
小野川温泉の源泉は、80度と熱いため、それだけを流すと湯船の「表面だけ」が熱くなります。
上は熱く、下がぬるい。

なんとかするには、かき混ぜるしかないのですが、かき混ぜてもすぐに表面が熱くなってしまいます。
考えに考えた末に思い浮かんだのが、こちら。

湯船に木の箱

湯口の下に木の箱を置くことで、湯船に入ったお湯を一旦、底まで入るようにします。
すると、底から熱い温泉が出てきます。
下から上への対流が生まれ、勝手にかき混ぜられます。

一度、源泉かけ流しをあきらめたのですが、この箱のおかげでなんとか無事、湯船全体を適温にできるようになりました。

そんな木の箱がだいぶ古くなりまして、新しい木の箱を作りました。
今回は、アイアンウッドと言われる、水に沈む木で作ってみたのですが…。

湯船に入れると…。

色が出て、紅茶のように…

最初は、どうしても木の成分が出てきてしまうようです。
数日、お湯につけて、色が出なくなったので、いよいよ大浴場に設置しました。

これまでより小さいサイズで、温度管理できるようになりました。

ちなみに、新しくできた露天岩風呂は、石で同じ仕組みができています。

熱い源泉を底から出す

源泉100%かけ流し。
ただ、お湯を流せばいいようですが、実はこんな苦労もあるのです。

今日は、温泉のメイキング裏話でした。^^

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。