旅館ブログ

ハートとハード。レベルに合わせたバリアフリー対応

12views

バリアフリー

ハートとハード、どっちが先?

昔は、車椅子と聞いただけでお断りしておりました。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅、
そして家族で落語を楽しんでほしい…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

今でこそです。
「車椅子でも楽々バリアフリーの宿」なんて言っているのは。

バリアフリー

先日のバリアフリーシンポジウムのヒトコマ

最初は、私もかなりビビっていました。

実家である宿に戻ってきてしばらくして気づいた当館の良さ。

「段差が少ない」
「エレベーターの前にお風呂がある」
「玄関にスロープがある」

若者目線では気づきませんでしたが、結構バリアフリーな作りでした。

そこで最初考えたのが、「高齢者向けの宿」でした。

その頃の私は、こう思いました。
「でも、車椅子はやめておこう。」

「車椅子でも大丈夫!」と打ち出すには、まだビビっていました。
段差が少ないとはいえ、何箇所かは段差がある。
車椅子では狭い場所もある。
トラブルになりやすいのではないか?

最初、なかなかここから抜け出せませんでした。

それでも、高齢者向けを謳っていれば、車椅子の方からもお問い合わせいただきます。
お断りしていました。

トラブルになるといけない、というビビリです。

それが、とあるきっかけで車椅子を受け入れようと本気で思うようになりました。

思い切って、「バリアフリー特別室」を改装しました。

車椅子でも使いやすいお部屋です。
おかげで不安なく、受け入れできるようになりました。

まず、ハート。そして、ハード

そもそもが段差を前提に作られている和風旅館。
急にバリアフリーと言われても、簡単じゃないのは当たり前です。

車椅子でも大丈夫というには、それなりのハードの改修が必要です。

そこで「ハードは無理」と思ってやらないのは、もったいないです。
まずは、「車椅子への不安」「トラブルやクレームへのビビリ」を軽くして、受け入れてみることです。

車椅子は無理でも、今の設備でも安心して泊まれる高齢者もいらっしゃいます。
その中で、「自分の施設でも可能なレベル」が見えてきます。

ビビリから抜け出し、「自分の施設でも可能なお客様」にアピールできるようになります。

それが第一歩なんだと思います。

すべてのお客様を受け入れようとして、施設の足りなさに悩み全てをお断りするより、今ある施設にあったお客様を呼ぶ。

まずは、ハートで解決です。
できる範囲でやる。

続けていけば、必ずハードの問題に直面します。

まさに今の当館がそこです。
「貸切風呂はないんですか?」

めっちゃ言われます。
進めていくとどうしてもハードを変えたくなる。

言うなれば、泊まりたいお客様のレベルが一段上がるわけです。

ここで、どうするか?

これまでスロープをつけたり、手すりをつけたり、ちょこちょことは直してきました。
貸切風呂は、簡単にはできません。

ずっと前から「貸切風呂」は作りたいと思ってきました。
うちの設備を見渡した時に、貸切風呂があれば、かなり整いますから。

いわば、車椅子でも快適に過ごすための最後のピース。

バリアフリー特別室+貸切風呂。
最強の組合せです。

それはわかってはいるんですが、簡単じゃない。

なんとかやりたいと思いつつ、悶々としております。
時期が来れば!

それまで、どんな貸切風呂がベストなのか、よく考えたいと思います。
アイデアありましたら、教えてくださいね。

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。