旅館ブログ

「障がい者差別解消法」よりも、「バリアフリー思い込み解消運動」

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広報よねざわ

市報の取材を受けました

今日は取材でした。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅をお手伝い…
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

取材を受けると改めて気づくことっていっぱいあります。

質問を聞いて答えを考える。
その間にいろんな気づきが掘り起こされます。

広報よねざわ

「広報よねざわ」は、市報のタイトルです

今日は、市報の取材。
テーマは、4月から施行された「障がい者差別解消法」

公式サイトはコチラです。
「障害者差別解消法ってなに?」パンフレット

この法律、なかなか微妙なんです…。

何が微妙かといいますと…。

「障がい者を差別しないようにしよう!」というメインテーマはわかります。
しかし、そのために…
「合理的配慮をしよう!」
ここがわかりにくい。

合理的配慮、ってなに?

合理的な配慮。

合理的 … 道理や論理にかなっているさま
配慮  … 手落ちのない、または、よい結果になるように、あれこれと心をくばること。

「道理にかなうよう、良い結果になるようあれこれと心を配りましょう」
ということです。

わかったような、わからないような。

公式サイトの事例で出てくるのは、むげに断るシーン。

「車いすの方はダメです。」
「うちでは、受け付けていません。」
といった具合に頭ごなしに断わっています。

これはやめましょうということ。

実際は、ここまでむげに断るケースはあまりないと思います。
それよりも、もうちょっと手前でボタンの掛け違いが起こり、トラブルになると思います。

障がい者とのトラブルでありがちなケース

例えば、貸切風呂。

電話での問い合わせ。

「貸切風呂はありますか?」
という質問に対し、
「ありません。」

「そうですか…。」
(ガチャ!問合せ終了)

実際、当館には貸切風呂はありません。
このやりとりは、事実としては正しい。

しかし、そこで「No!」と断る前に「合理的配慮」。

「貸切風呂はございませんが、時間帯をずらして、大浴場を貸切状態で使うことはできます。
チェックインの前かチェックアウトのあと、1時間くらいでしたら。」

質問の仕方にもコツがいります。

貸切風呂のあるなしではなく…、
「夫の入浴介助をしたいのですが、お風呂の貸切はできますか?」

そんな質問なら、「No!」の前にいったん考えてしまいます。

この「いったん考える」が大事なんです。

ともすれば、自分の施設はバリアフリーではないという「思い込み」があります。
ともすれば、バリアフリーはこうでなくてはならない!という「思い込み」があります。

障がい者を意図的に差別しようとする人は少ないはずなんですが、結果的にむげに断ってしまうケースがあります。

ですから、「いったん考えましょう」。

「バリアフリー」と聞くと、段差がなくて、フラッとで…と思いますが、実は段差があったほうがいい場合もあります。

例えば、お風呂。
当館は、バリアフリーな大浴場で、お風呂はフラットですが、これがかえって車いすの方には使いにくいんです。

浴槽は床と同じ高さから入るよりも、ヘリがあって車いすから移乗できるほうが使いやすいんです。

風呂

ヘリが広く移乗しやすいお風呂

また、お部屋も小上がりのようになっているほうが寛げる場合があります。

そして、「バリアフリー」と聞くと、ついつい「車いす」を連想しますが、視覚障がいや聴覚障がいの方のためのバリアフリーもあります。

障がいは無数にあるため、バリアフリーも人それぞれ。
そのお客様ごとに「いったん考えて」ベストな対応を模索する必要があります。

「うちは、スロープつけたし、段差もないし、バリアフリーで大丈夫!」
と簡単にはいかないのです。

今日、市役所の方の取材を受けてみて、改めて思いました。

障がい者に対して「差別」というほど強い意識よりも知らずに陥っている「思い込み」の方が多い。
ですから、まずは「思いこみ、してない?」といったん考えてみるといいです。

差別解消はもちろんのこと、思い込み解消運動を展開したほうがいい。

かくいう私も、日々新たな思い込みに気づいています。
障がいは人それぞれなので、前回の対応が正解とも限りません。

常にいったん考えながら進むのが、大事だなと思う次第です。

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。