旅館ブログ

あれから5年。何年たってもあの空気と感覚は忘れない!

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アンパンマン

震災から5年が経ちました

もう5年。まだ5年。

3世代でもラクラクのバリアフリー旅をお手伝い。
鈴の宿 登府屋旅館の 遠藤直人(@naaot)です。

あのとき、旅館には、ちょっと早めにお着きのお客様が、2組4名。
スタッフは、ちょうど私しかいませんでした。

揺れました。

たしかに大きく、長い時間揺れました。

当時は、単なる地震だという認識しかなく、まさかこんなことになると思っていませんでした。
「ちょっと長めの地震だな。動画撮ろうかな。今からスマホ出して間に合うかな。」
そう考える余裕がありました。

米沢は、震度5強でしたが、生命の危険というほどではありませんでした。

しばらくして、地震がおさまり、お客様と「長かったですねー」とお話ししました。

その後、テレビを見るなかで、信じられない光景が目の前に広がりました。

米沢と鶴岡以外の山形県内は全域、停電でした。
米沢と鶴岡だけはテレビが見れるくらい普通。

ただただテレビの前で太平洋側のスゴさを見ていました。
まだ、震災という感覚がない時間帯です。

そして、だんだん状況が飲みこめてきました。

この地震の範囲がものすごいこと。
津波がありえない被害を生んでいること。
県内でも停電や断水などの被害が出ていること。

時間が進むにつれ、ガソリンがなくなり、原発事故が起こり、モノ不足が起こり、どんどん状況が悪くなってきました。

「先が見えない。」

米沢にはたくさんの避難者の方がいらっしゃいましたが、反面、旅行どころではないので予約はすべてキャンセル。

明日どうなるのか、全く読めない状況。

 

どうにか時間は過ぎました

あのころの感覚。

いろんな場所で目にした光景。
聞いた話。
自粛ムード。

日本全体の雰囲気。

一日一日変わる世の中の空気感。

津波の被害に恐怖した空気。
原発の爆発に戦慄した空気。
消防隊の活躍に安堵した空気。
ガソリン不足にピリピリした空気。
モノ不足に不安になった空気。

明確に思い出せます。

あのときは、商売が続けられるという自信は持てませんでした。

それでも、なんとかいろいろやってみて…。
ゴールデンウィークの5月になったころ、ようやく状況は良い方に動きはじめました。

まだまだ被災地は、復旧が進みません。
原発事故のキズもまったく回復しません。

「普通に戻った」とは、言えません。
旅館の売上だって、まだまだ震災前には及びません。

いろんなことを変えながら、なんとか宿は生き残った、という実感です。

でも、生きています、なんとか。

あのとき、ラジオをキッカケによく流れていた歌。

アンパンマンのマーチ。

そうだ おそれないで
みんなのために
愛と 勇気だけが ともだちさ
何のために 生まれて
何をして 生きるのか
答えられないなんて
そんなのはいやだ

生きるとは?

アンパンマンが問いかけてきた気がしました。

アンパンマン

アンパンマンはキミさ!

 

「時間が解決する」という甘いことは言えません。

震災は間違いなく、いろんなものを奪いました。
失った以上、時間で解決はできません。

それでも残されたものにできること。
奪われたものを受け止め、さらなる一歩を踏み出すこと。

その一歩がなければ、どんなに時間が経ってもなにも解決しません。

放っておくと自動的に過ぎゆく時間のなかで、どんな具体的な一歩を踏み出すか。

あの日から大きく変わった価値観です。

これからもこの意識をもって、一歩一歩進んでいきたいと思います。

震災で亡くなられたみなさまのご冥福を心よりお祈りし、傷ついた地域、特に福島県の一日も早い復興を願っております。

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。