旅館ブログ

あなたはどっち?足し算旅館、引き算旅館

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日本トラベルヘルパー協会

旅館がやってしまいがちな「足し算」

出会いって大事。

車いす旅行を応援しています…
小野川温泉の遠藤直人です。

昨日は、日本トラベルヘルパー協会を訪れました。

温泉エッセイストの山崎まゆみさんのご紹介で日本トラベルヘルパー協会の篠塚代表理事、観光庁の石原課長、上井さんといっしょにお話ししました。

 

日本トラベルヘルパー協会

スゴイ面々に囲まれ、緊張しております 

その時のお話。

 

どこのビジネスもそうかもしれませんが、足し算は得意で、引き算は苦手です。
特に、旅館は足し算が多いです。

高度成長期なら、スナックも作ろう、売店も作ろう、ラーメン屋も館内に。
それが、足し算。

流行を取り入れるのは大事なんですが、岩盤浴を作ろう、サウナを作ろう、カフェを作ろう。

すると…
看板は違うけど、同じような機能、同じような中身の宿が軒を並べることになります。

足し算の弊害です。

お客さまからすれば、どこも同じで比べられない…。
すると…どこに泊まってもいい。
だから…安い方がいい。

ということで、価格競争に巻き込まれます。

コモディティ化ですね。

旅館でピンとこない方は、液晶テレビを考えてください。
どこも画質は大して変わりません。
機能も大して変わりません。
メーカー名を隠したら、どこのメーカーのモノかわかりません。
だから、安い方がいい。
これと同じです。

旅館だけでなく、温泉街の取り組みもそう。
視察にいっては、まねる。

視察に行ってまねることは、大変素晴らしいこと。
ただ、オリジナリティを何も加えないと、単に同じものが日本中に生まれるだけになります。

「足湯?どこにでもあるよねー。」
「湯めぐり手形?どこにでもあるよねー。」

小野川温泉が山形で一番に取り組んだ足湯や湯めぐり手形は、いまやどこの温泉地にもありふれてしまいました。

 

ミッションを反映するための「引き算」

どうして、足し算をしてしまうのか?

「たくさんのお客様に来てほしいから。」
と、答えると思います。

「お客さまに満足してほしいから。」
と、答えるかもしれません。

しかし、果たしてそうでしょうか?

大宴会場でガンガンとカラオケをやって、コンパニオンとドンチャン騒ぎを楽しみたいお客さま。

家族で米寿のお祝いをしようと、親せきといっしょに集まったお客さま。

温泉が大好きで、湯治しながら読書を楽しもうと滞在しているお客さま。

この3者が同じ日に泊まった場合、満足するとは思えません。^^;

つまり、本音は「売り上げを最大化したいから」こそが、足し算の理由です。
企業は、ボランティアではないので、売上の最大化は悪くないです。

ただ、売上を最大化すること「だけ」が目的になっていないでしょうか。

特に、2代目以降のあとつぎ経営者は、
「自分はこんな宿にしたい!」
という思いよりも
「つぶしちゃいかん!時流に乗って売上拡大!」
という思考に陥りがちです。

はい、私もそうでした。

だからこそ、いったん立ち止まって、引き算する勇気が必要なのです。

私が、数か月間ですが、働かせていただいたよその宿。

那須高原の宿 山水閣

 ここで、オーナーの片岡孝夫さんに伺ったのが…
「やりたくないことをやめることから、始めてみたら?」
でした。

当時、私が山水閣で驚いたのは、宴会場がないこと。
旅館にとっては、ガツンと大きく稼げるはずの団体が泊まれないのです。

代わりに個人のお客様がたくさん訪れていました。

 

同じように個人向けで大幅な引き算をしている宿が米沢にあります。 

時の宿 すみれ

「お二人様専用」というコンセプトを聞いたときは、ビックリしました。
3人でも4人でもダメなのですから。

通常の旅館経営者には、これほどの引き算は怖くてできませ

実際には、こちらもたくさんのお客様に支持されており、すばらしい評価をえてらっしゃいます。

 

競合をさけ、同志を見つける

大規模旅館なら、足し算は仕方がないのかもしれません。

しかし、大きくない旅館なら、思いっきり引き算してみたほうがより伝わるようになります。

私自身、以前は、「高齢者向けの宿」という表現を使っていました。
設備も不十分だったこともあり「車いす」という単語を使えませんでした。

「高齢者向けの宿」だけでは、家族向けなのか、団体なのか、老人クラブなのか、はっきりしません。

そこで、最近では「家族といっしょに車いすでもラクラク安心の宿」という伝え方をしています。

バリアフリー特別室を作ったのがキッカケですが、ようやく引き算ができました。

引き算でコンセプトが明確になると…
お客さまにも伝わりますが、同志が集まりやすくなります。

「なんでもやってます!誰でも泊まれます!」
よりも
「こういう宿です!こういう人に泊まってほしい!」
の方が、伝わりますね。 

旅行には、さまざまな人々が関わります。
飲食店、観光施設、旅館・ホテル、交通機関、旅行会社、観光庁などなど…。

「バリアフリー旅行」という旗が明確になれば、関心のある人が集まりやすくなります。

 

日本トラベルヘルパー協会

バリアフリー旅行しやすい社会を作ります 

2014年は、登府屋旅館をいかに車いす対応にするか?でした。
2015年は、様々な方ともつながりながら「車いす旅行」の幅を広げていきたいと思います。

「うちもバリアフリー旅行を応援してます!」
という興味のある方は、お気軽にメッセージくださいね。

 

 

今日、お会いした皆様の関連サイト

車いすでもラクラクの旅をお手伝いする… 

日本トラベルヘルパー協会

 

最近、Youtubeはじめました…

山崎まゆみさんの公式Youtube

著者情報

1976年、山形県米沢市生まれ。福島大学経済学部を卒業後、㈱旭テック(現・旭ブレインズ)に勤務。その後、オーストラリアでの1年間の放浪生活、那須温泉・山水閣での研修を経て、2004年、鈴の宿 登府屋旅館にUターン。宿の仕事のかたわら、小野川温泉のまちづくりに注力していた2011年、東日本大震災を経験。震災後は、米沢の温泉旅館の連携を模索。1か月後には、「温泉米沢八湯会」を組織化し、義援金を集め、プランを作り、新たな切り口で米沢の価値を高めている。2013年、代表取締役への就任を機に「車いすでも安心して過ごせる宿」を目指す。「お客さまは、旅館ではなく旅行に来ている」という発想から『車いすで米沢を旅する本』を編纂。車いすでも安心して旅できる地域づくりを行っている。また、宿の宴会場では、不定期で自主セミナーを開催。講演テーマは、「リピーターを生み続ける仕組みづくり」「小野川温泉・米沢八湯のまちづくり」「補助金・マスコミ・ソーシャルメディア活用法」「燃料は、捨てる温泉熱!ヒートポンプで灯油ゼロ」など。自身の経験を公開しながら、他地域からの視察も積極的に受け入れている。