「障がい者差別解消法」。現場に必要なのは法律ではなく…

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意外に知られてませんが、施行は来年4月

まだまだ知られてないんです…。

こんにちは。

どこまで誤解なくかけるか不安な今日の記事…
鈴の宿 登府屋旅館の遠藤直人です。

今日は、当館のバリアフリーの取り組みをいろいろと教わった平間みゆきさんがいらっしゃいました。

そこで出たお話…。

 平間みゆきさん平間みゆきさんとのお話

 

平成28年4月1日。
来年の4月。

新たな法律が施行される予定です。
「障がい者差別解消法」

 

障がい者差別解消法

来年の3月には、マスコミも話題にするはず!

 

文字通り、障がい者の差別を解消する法律。

そこだけ読めば、「どうぞ!どうぞ!どんどん進めよう!」となります。

これが、なかなか現場泣かせかもしれないと、ちょっと不安になっています。
うちのようにバリアフリーに力を入れていてもちょっと不安になるので、通常の施設はより不安だと思います。

なぜ、不安なのか?というと…
今のところ、法律の条文が漠然として、どうとでもとれるから。

そして、これから出てくるであろう現場向けのガイドラインが、どんな中身かまだ分からないから。

法律は、こうなっています。

全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)

文章が固くて、よくわからないので、超訳します。

簡単に言えば、「障がいで差別するのはやめてね」ということ。

「差別なんて、そんな…」と思うかもしれませんが、実は、事業者がなにげなくやってしまいがちなことが、相手にとっては「差別」になるかもしれないのです。
だから、事業者がよく法律と状況を理解する必要があります。

そして、もう一点。

「合理的な配慮をしてあげてね。」です。

この法律の補足として内閣が閣議決定した基本方針があります。

閣議決定(平成27年2月24日)

「合理的配慮」の例が出ています。

〔例〕
・ 車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮

・ 筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮

 

おそらく、こんなことをしちゃうと、差別になるようです。

・たいしたことない段差があったとき、車いす利用者に対して、「段差あるから無理!」といって入店を拒否するとか…

・聴覚障害の方から「筆談でお願いできませんか?」となったときに「筆談なんて無理!」といってお断りするとか…

では、どんなことでも絶対にお断りしてはいけないのかというと…
「客観的に見て正当な目的の下に行われ、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合は正当な理由に相当」となっています。

セクハラの線引きが難しいように、差別の線引きもとても難しいものです。
「客観的に見て正当でやむを得なければ、差別ではない 」って、難しいですよね。だいたい、客観的って誰が決めるのかと…。

現在、基本方針よりもさらに現場に照らした「ガイドライン」を作っているそうです。

そちらが出てくれば、もっと具体的になってくると思います。

でも、大事なのは法律なのでしょうか?

 

現場に求められるのは、法律よりも…

権利を保障するモノとして、法律は大事です。

要は、最悪のマイナスをなくして、ゼロに持っていくために。

「車いす利用者?無理、無理!よそいってください。」
というような対応を、もししている施設があれば、差別的だと思います。

そんなことを言わせない。
そんな対応をさせない。

法律が効く部分です。

でも、もしかしたら、一度、車いす利用者を受け入れした結果、お店として難しいのではないかと判断し、言い方こそ乱暴ですが、拒否する結果になったのかもしれません。

この辺が、難しいところです。

法律では、取り締まりのような「マイナス→ゼロ」はできても、「ゼロ→プラス」は難しい。

 

理想としては、法律でお互いが歩み寄るキッカケになればいいと思います。

かつて「車いす利用者」を受け入れようとして、不運にもトラブルになってしまい、「二度と受け入れない!」と拒否反応になってしまっていた店主が…

車いす利用者でも、立てる人もいれば、松葉づえで歩く人もいる。
車いすごと持ち上げて運べる場合もある。
畳の部屋で使える車いすカバーがある。
簡単な板を渡せば、スロープ代わりになる。

といった、知恵を得るキッカケになればいいんです。

「あ、うちは段差あるけど、こういう状況の方なら受け入れ可能なんだな…。」
と思えるようになります。

「車いすでもラクラク」と、うたっている当館ですら、まだまだ勉強の日々ですから。
「車いす利用者」とすべてをひとくくりにするのは現状を見誤ります。

最悪なのは…
この法律がキッカケでお互いの溝がさらに深まってしまうこと。

受け入れようとしたら「この店は段差がいっぱいある!」といわれ、凹んだ…、とか。

「バリアフリーと書かれているが、全然バリアフリーじゃない!」とネットに書かれ、凹んだ…、とか。

おそらくですが、法律の施行とともに「バリアフリー」と書かれている施設は、ホームページなのでの記載をいったん見直すと思います。
「バリアフリー」という言葉は、定義があいまいで人によって「スロープがある」レベルなのか、「段差ゼロ」なのか、感じ方がマチマチになるので。

使っている側もけっこういい加減に使っているのが、「バリアフリー」という言葉なんです。
クレームになりかねないと思い、いったん削除する施設が増えると思います。

でも、そんな風になったら、ますます本末転倒ですよね。

バリアフリーを普及させたいはずが、バリアをより強固にしてしまう

もしかしたら、中途半端でもバリアフリーと書かれていたほうが、探せて利用できたかもしれない人がいるのに記載をなくした結果、検索されなくなる…。
もったいないスパイラルです。

必要なのは、法律よりも「経験」

だから、必要なのは「法律」じゃないのです。

「うちは、段差もあるし、狭いところもあるけど、その情報をちゃんと伝えたら、車いすのお客さまを受け入れられた。ご本人さまにもお連れさまにも喜んでもらえた…。」

車いす利用者の100%は受け入れられないかもしれないけど、5%くらいならウチでも受け入れられるのかもしれない…。

そんな経験ができるかどうかです。

この経験をした結果、本格的な改修を行って車いす利用者を受け入れている施設があります。

ウチです。^^

 

「うちは段差があるから…」「どうせバリアフリーじゃないし…」というあきらめにも似た罪悪感。

お持ちの施設は、けっこう多いです。

「受け入れたら、クレームになるんじゃないか?」

委縮している施設も、けっこう多いです。

「いやいや、その設備でも大丈夫だよ!私は。」
障がいは人それぞれですので、きっと受け入れできる場合があるはずです。

そんな出会いができるか。

 

さらには、「もっとバリアフリーにしたいな」と思えるか。
そう思っても、いざ設備投資をするのは、なかなかの決断です。

「こんなに喜ばれるのか!」という経験の積み重ねが、決断の後押しになります。

それには、「権利と義務」だけではなく、「知恵を出し合う経験」が必要です。
そのきっかけになる法律になればいいなと思います。

 そして、蛇足ですが…
施設にも「合理的配慮をしやすくする権利」を与えてほしいと思います。

例えば、東京や秋田などでは、県の条例でバリアフリー改修を後押しする補助金があります。1件当たり、最大500万円。

東京は、2020年のパラリンピックを控えているので急務でしょうが、同じ東北の秋田でもあるのです。
高齢化が激しく進む日本全国、どこでも望まれているのではないでしょうか。

法律をきっかけに…
「うちはこうすれば、車いすのお客さまを受け入れられるのか!」
という知恵が生まれ…

「こんなに喜ばれるのか!」
という経験をして…

「バリアフリーにしてもいいな…」
とさらなる受け入れの意欲と具体策が持てる状況。

あと4年でこれを作って、2020年には海外の車いす利用者から「お・も・て・な・し♪」って、このことだったのか!と実体験してもらえれば、最高ですね。

というわけで、「障がい者差別解消法」。
気になった方は、ググってみてくださいね。

BtoCの方は、特に。^^

 

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