伝説の建築家・倉橋英太郎先生の偲んで

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突然の訃報でした…

まだ全然、実感がわきませんが…。

せつない一日でした…
鈴の宿 登府屋旅館の遠藤直人です。

昨晩、LINEで知人から伝わってきた情報に驚きを隠せませんでした。

昨年、当館のバリアフリー特別室を設計していただいた建築家の倉橋英太郎先生がお亡くなりになりました。

小野川温泉では、河鹿荘さん、亀屋万年閣さん、当館と3軒の宿を手掛けていました。
さらに、温泉街の景観にもアドバイスいただき、手弁当でかけつけて、黒塀や案内塔など具体化してくださいました。

「大改造!劇的ビフォーアフター」の匠としてご出演なさっていました。
でも、そんなテレビの華やかさもさることながら、普段やっている活動が本当に尊敬できる先生でした。

 

倉橋英太郎先生

最後にお会いしたのは東京のセミナーでした

 

小野川温泉に大きな足跡

小野川温泉としては、失ったものが大きすぎます。

先生のデザインした黒塀は、旅館組合の共同駐車場を囲っています。
それまでなにもなかった温泉街の入り口には歓迎塔ができました。

 

小野川温泉を見守っている歓迎塔 

 

歓迎塔について先生が考えたコンセプトは、3つありました。

タダの看板ではつまらない

心温まる温泉らしい情緒あふれるもの

精神性豊かになり上杉らしい歴史を生かしたもの

コンセプトを体現した祠。
今では、すっかり温泉街になじんで、風情ある目印になっています。

素晴らしい宝を作っていただきました。

他にも小野川温泉で景観のセミナーなど、たくさん行ってくださいました。

 

小野川温泉のための景観の指針をわかりやすく 

 

この動画をご覧いただきますと、いかに温泉街について考えていただいたかがわかります。

小野川温泉の現在の写真、昭和初期の写真、そして将来的なイメージ図。
どっぷりと小野川温泉に入りこんで、小野川温泉のことを考え、小野川温泉のために話してくださいました。

倉橋先生でなければ、できないセミナーです。

 

旅館業界に特化

先生のメインテーマである「蘇生」は、旅館にピッタリでした。 

共感した旅館経営者は多く、たくさんの旅館を先生が蘇生なさいました。 

うちもたった一部屋でしたが、蘇生していただきました。

この動画では、ふだんやセミナーとも一味違う打合せのとき先生の姿がわかります。

図面を見て、定規を当て、突然立ち上がって現場に行き、本当にプロ中のプロでした。 
アイデアが、ほとばしっていました。

 

 打合せのときの倉橋先生

 

経営的アドバイスもできた稀有な建築家

私のようなバブル以降に旅館に帰ってきたアトツギにとって、施設改修は現実味を感じないものでした。

親の世代の「設備投資!」という発想に対し、
「こう厳しいと銀行だって貸してくれないし…」
「ちょこちょこと直しながら、だましだましやるしかない…」
そんな風に思っていました。

そうかと思えば、同じ世代でも
「銀行さえ貸してくれれば、ドーンと直すのに…」
という壮大な方もいらっしゃいます。
でも、どうやって借りるかというと策がない。

縮小均衡の私のようなタイプも、壮大な夢想家のようなタイプも、経営者としては今ひとつです。

なぜなら、次の一手が打てないから。

そんな我々の世代にも先生は、気さくに話しかけてくださり、いろいろ教えてくださいました。

先生は、「こういう工法が」とか「部屋はこう直すといい」なんていう建築的な話はしませんでした。
「そんなことは資金が準備できた時でいいんです」と言い切り、それよりも「売上あげるには今はネット販売です」とか「こうすれば電気代を下げて経費削減できます」と教えてくれました。

現実の小さな一歩の踏み出し方を教え、大きな一手への道筋をつける

稀有な建築家でした。

ともすれば、「作品」といっては建築家のエゴのようなデザインにしてしまい、予算を越えてしまうような建築家も世の中にはいらっしゃいます。

旅館にとって、建物は「建築家の作品」ではありません。
「商売をする大道具」です。

どんなに著名な建築家の斬新なデザインであっても、営業するばするほど経費がかさみ、続けられないようになっては本末転倒です。

設計だけでなく、マーケティングや経営の視点にも優れていた先生の設計は、常にその後の経営までも意図した素晴らしいものでした。

 

動画にも気さくに応じてくださいました 

 

 建築にしかできないチカラを実感

たった一部屋でしたが先生に直していただいたバリアフリー特別室。

それまで「修繕で乗り切るしかない」と思っていた私でしたが、なんとか予算にあわせていただき、初めて「設備投資」として客室に手を入れました。
宿に帰ってきて10年目のことです。

「修繕の限界」「建築のチカラ」を見せつけられました。

 

客室を先生が解説

 

動画にもありますが、
「週刊朝日に載ったんですねぇ。すごいですね。」 
と喜んでいただきました。

でも、それは、先生のチカラです。

先生の持つ建築のチカラで工事が実現し、カタチになったのであり、それがなければ絶対に起こりえませんでした。

旅館業界としても、
小野川温泉としても、
登府屋旅館としても、
大きな方を失いました。

もっと経営をよくして、ちゃんとした形で再び先生に設計をお願いし、根っこから蘇生してほしかったです。

残念でなりません。

「将来的にはこうしたい! 」という夢をカタチにできる唯一の先生でした。

「いつかお願いしたい」と思っている全国の若旦那も多かったです。
存在が私たちにとっての夢でした。

悔しくてなりませんが、まずはこれまでありがとうございました。
先生に蘇生していただいたお部屋と温泉街は、大切に使わせていただきます。

これからも小野川温泉の入口の案内塔から見守っていてください。

 

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